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顧客対応AI「SuperTOBi」が欧州全市場で稼働、完結率70%と発表|ボーダフォン(Vodafone)の事例

公開 2026-10-20 / 約8分

生成AIアシスタント「SuperTOBi」が欧州の全市場で稼働し、問い合わせを最初から最後まで完結できた割合(Vodafone 2026年3月期 中間決算・2025年11月11日。算出方法は示されていない)

完結率70%

出典:決算・年次報告(2025-11-11時点)

地域
🌐 英国(海外)
業種
通信
AI化した領域
顧客対応/コンタクトセンター/AIアシスタント/顧客満足度
出典の種別
決算・年次報告/自社発表

通信会社の問い合わせ窓口は、料金、契約、故障と質問の種類が多く、AIチャットボットが「答えられずに人へ回す」場面がいちばん起きやすい領域です。ボーダフォンはこの窓口に生成AIを組み込んだ「SuperTOBi」を入れ、欧州の全市場で稼働し、問い合わせを最初から最後まで完結できた割合は70%と中間決算で発表しました(Vodafone 2026年3月期 中間決算・2025年11月11日)。2024年7月の発表では、ポルトガルの予約手続きで初回解決率が15%から60%に、オンラインのNPS(顧客推奨度)は14ポイント上がって64になったと説明されています。決算・自社発表を中心に、出典と発表日つきで整理します。

この事例の要点

  • 生成AIアシスタント「SuperTOBi」は欧州の全市場で稼働し、完結率70%と発表(中間決算・2025年11月11日)。決算では顧客満足度も上がったと記載
  • ポルトガルでは、SuperTOBiを予約手続きに使ったことで初回解決率が15%から60%、オンラインのNPSは14ポイント上昇して64(自社発表・2024年7月4日)
  • 従来のTOBiは、13か国で月に約4,500万件の顧客の質問に対応していた(自社発表・2024年5月23日)
  • 2024年5月の発表では、SuperTOBiの初期テストで、複雑な請求の問い合わせなど重要な場面の初回解決が50%改善。MicrosoftのGenAIを活用したことで、顧客との通話時間が平均で少なくとも1分短くなったと幹部が説明
  • 2024年7月の発表では、SuperTOBiを中核に含む顧客体験の改革全体に、今年度(2025年3月期)1億4,000万ユーロを再配分して投じると説明(SuperTOBi単独の金額ではない)

どんな会社か

ボーダフォン・グループは、欧州とアフリカを中心に携帯電話・固定通信を提供する通信グループです。国ごとに顧客と言語が異なるため、顧客対応AIも国別の展開が必要になります。

発表では、従来のTOBiが13か国・11言語で顧客を支えていたと説明されています(2024年7月4日。2024年5月の発表では「13か国・15言語」と記載されており、数え方の違いは出典に書かれていません)。

何が課題だったのか

公表資料から読み取れる課題は、キーワードに反応するだけの従来型チャットボットでは、複雑な問い合わせを最後まで解決できず、人に回ってしまうことです。

2024年7月の発表では、SuperTOBiは「文章や言い回し全体を読み取る」点が従来との違いで、答えられない質問は人に自動で引き継ぐと説明されています。ここは「AIで全部を片づける」のではなく、AIが解決できる範囲を広げつつ、できないものは人へ渡す設計と読めます。

何をAI化したのか

領域内容公表時期
顧客向けの窓口生成AIアシスタント「SuperTOBi」。長い文章の問い合わせを読み取り、答えられない場合は人に引き継ぐ2024年7月4日にイタリア・ポルトガルで稼働と発表
オペレーター向けの支援「SuperAgent」。複雑な問い合わせの答えを、オペレーターが早く見つけられるようにするAI(Microsoftのエージェント向けCopilotを基盤に構築)2024年5月23日に発表
展開範囲ドイツ・トルコは2024年7月から開始予定と発表、その後欧州の全市場で稼働2024年7月4日/2025年11月11日
新しい顧客対応方針「Ask Once」(名称は「一度聞けば済む」の意)。3つの市場で実施。同じ決算で、NPSが首位の市場は11と記載2025年11月11日(中間決算)

なぜここまでできたのか|顧客向けAIとオペレーター向けAIを同時に動かした

ボーダフォンの公表値。SuperTOBiの完結率 70%(Vodafone 2026年3月期中間決算・2025年11月11日)/ポルトガルの予約手続きの初回解決率 15%→60%(自社発表・2024年7月4日)/オンラインNPS +14ポイントの64(同)
ボーダフォンの公表値。SuperTOBiの完結率 70%(Vodafone 2026年3月期中間決算・2025年11月11日)/ポルトガルの予約手続きの初回解決率 15%→60%(自社発表・2024年7月4日)/オンラインNPS +14ポイントの64(同)

この事例の特徴は、お客さま向けのAIと、オペレーター向けのAIを組み合わせて入れていることです。SuperTOBiが解決できる範囲を広げ、人に回ってきた難しい問い合わせは、SuperAgentがオペレーターの調べものを助けます。

もう1つは、1か所で試してから国ごとに広げたことです。2024年5月の発表では、SuperTOBiとSuperAgentはコールセンター1か所で十分にテストしたと説明されています。その後、ポルトガルとイタリア、ドイツとトルコ、欧州の全市場へと順に広げました。テストの発表(2024年5月)から、全市場での稼働が決算に書かれる(2025年11月)まで、1年半ほどです。

日本の中小企業が真似できる3点

① 「答えられないときは人へ渡す」を最初に決める。 AIが対応できる範囲を広げる前に、答えられない質問を担当者へ引き継ぐ手順を決めておくと、顧客の不満を抑えられます。

② 顧客向けとスタッフ向けを別に考える。 顧客に見えるチャットだけでなく、担当者が回答を探す時間を減らすAIも効果があります。自社のFAQや過去の返信を、担当者が引ける形に整えるところから始められます。

③ まず1か所で試し、数字で広げる。 同社は1つのコールセンターで試し、国別に広げました。中小企業なら、1つの商品・1つの問い合わせ種別で試し、初回解決率を測ってから範囲を増やす順番が使えます。

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注意して読むべき点

  • 「完結率70%」の定義は示されていません。決算では「70%のend-to-end resolution rate」とだけ書かれ、対象の問い合わせ範囲、測定期間、人に引き継がれた件の扱いは説明されていません
  • 「初回解決率15%→60%」はポルトガルの予約手続きに限った数字で、2024年7月時点です。請求など他の手続きはその後追加すると説明されており、ほかの国や他の手続きの同じ指標は出典にありません
  • 「50%改善」は初期テストの数字です。2024年5月の発表では、コールセンター1か所のテスト結果と説明されており、全市場の実績ではありません
  • NPSの+14ポイントはAIだけの効果とは言えません。同時期の他の施策の影響を切り分けた記載はありません
  • コストや削減額は示されていません。1億4,000万ユーロは顧客体験の改革全体に再配分する「今年度の投資額」で、SuperTOBi単独の費用でも削減効果でもありません
  • 「通話時間が平均で少なくとも1分短縮」は幹部の発言です。どのコールセンターの、どの期間の数字かは示されていません
  • 出典はすべて自社の発表・決算です。第三者が検証した数字ではありません。決算の記載も短く、詳細な内訳は出典から確認できません

よくある質問

Q. ボーダフォンは顧客対応にAIをどう使っていますか?

顧客向けの生成AIアシスタント「SuperTOBi」と、オペレーター向けの「SuperAgent」が公表されています。SuperTOBiは2025年11月の中間決算の時点で欧州の全市場で稼働しています(Vodafone・2025年11月11日)。

Q. 完結率70%とは何ですか?

決算では「70% end-to-end resolution rate」と記載されています。AIアシスタントが問い合わせを最後まで解決した割合と読めますが、対象範囲や測定期間は示されていません。

Q. 中小企業でも問い合わせ対応にAIを使えますか?

問い合わせの種類が絞られていれば、小さく始められます。まず頻度の高い質問を数種類に絞り、答えられない場合は担当者に引き継ぐ形にして、初回解決率を測りながら範囲を広げてください。

出典

出典と、その読み方

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