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全従業員18.5万人にAIを開放、利用者4万人から拡大|サンタンデール(Santander)の事例

公開 2026-10-21 / 約8分

AIを使える環境を用意した全世界の従業員数(以前の実利用者は約4万人)。Santander公式ストーリー・2026年6月22日

18.5万人

出典:自社発表(2026-06-22時点)

地域
🌐 スペイン(海外)
業種
銀行(金融)
AI化した領域
顧客対応/コンタクトセンター/社内AI基盤/業務効率化/人材育成
出典の種別
自社発表/報道

大手銀行のAI活用は、一部の部門や開発者で終わることが少なくありません。サンタンデールは、AIを使える環境を全世界の従業員18万5,000人に広げたと2026年6月に発表しました。以前に実際にAIを使っていた従業員は約4万人だったと説明されています(Santander公式ストーリー・2026年6月22日)。同じ発表では、2026年第1四半期にAIが生んだ事業価値が3,500万ユーロ、年末までに2億ユーロ超を見込み、2026〜2028年に10億ユーロ超を目標とすると述べています。実績と目標を分けて、出典と発表日つきで整理します。

この事例の要点

  • 全世界の従業員18万5,000人がAIを使える状態に。以前の実利用者は約4万人(Santander・2026年6月22日)
  • 2025年8月の発表時点で、ChatGPT Enterpriseを約1.5万人へ2か月で展開。年末までに3万人(従業員の約15%)が目標(Santander・2025年8月13日)
  • コンタクトセンターでは、AIコパイロットが問い合わせの40%超を支援(同2025年の発表)。スペインの音声分析は年1,000万件の通話を処理し、年10万時間超を生み出したと説明
  • 英国では、音声窓口のカード関連の問い合わせからAIの導入を始め、年約24万件の通話(年間件数の40%)をセルフサービスで解決する計画。顧客の約2.6万時間、サービス担当の約4.5万時間を空ける見込み(2026年6月22日)
  • 2026年第1四半期の事業価値は3,500万ユーロ(実績)。年末までに2億ユーロ超を見込む(予想)。2026〜2028年の10億ユーロ超は目標(2026年6月22日)

どんな会社か

サンタンデールは、スペインを本拠に欧州・南北アメリカで個人・法人向けの銀行サービスを展開する大手銀行グループです。従業員は約18.5万人で、国ごとに言語・規制・システムが異なります。

発表では、AI活用を「データとAIファースト」の経営方針の一部と位置づけ、OpenAIとの提携(2025年8月)で全社展開を加速したと説明しています。

何が課題だったのか

公表資料から読み取れる課題は、一部の人しかAIを使えていない状態から、全社で測れる成果に変えることです。2026年6月の発表では、AIを使える人を約4万人から全従業員へ広げることと、成果を測って事業価値として積み上げる方針が前面に出ています。

コンタクトセンターについては、2025年の発表で、AIコパイロットが問い合わせの40%超を支援していると説明されています。ここは「人を置き換える」のではなく、担当者の対応を助ける位置づけです。

何をAI化したのか

領域内容公表時期
全社の生成AIChatGPT Enterpriseを約1.5万人へ展開(2か月)。その後、AIを使える環境を全従業員18.5万人へ2025年8月/2026年6月22日
コンタクトセンターAIコパイロットが問い合わせの40%超を支援。スペインでは音声分析が年1,000万件の通話を処理2025年8月の発表
英国の通話カード関連の問い合わせから音声窓口へAIを導入し始め、年約24万件(年間件数の40%)をセルフサービスで解決する計画2026年6月22日
不正請求の処理(ブラジル)カード不正の請求処理が約95%速くなり、自動化は最大90%・誤り率1%未満2026年6月22日
マネーロンダリング対策(Openbank)年約10万件のアラートをAIモデルが処理し、調査時間が数時間から数分へ2026年6月22日
業務の自動化エージェント本番稼働の自動化エージェントが280超2026年6月22日

なぜここまでできたのか|「配る」と「事業価値で測る」を同時に進めた

サンタンデールの公表値。AIを使える従業員 18.5万人(以前の実利用者は約4万人)(Santander・2026年6月22日)/2026年第1四半期の事業価値 3,500万ユーロ・年末までに2億ユーロ超を見込む(同)/コンタクトセンターの問い合わせのAI支援 40%超(2025年8月の発表)
サンタンデールの公表値。AIを使える従業員 18.5万人(以前の実利用者は約4万人)(Santander・2026年6月22日)/2026年第1四半期の事業価値 3,500万ユーロ・年末までに2億ユーロ超を見込む(同)/コンタクトセンターの問い合わせのAI支援 40%超(2025年8月の発表)

この事例の特徴は、利用者を増やす話と、成果を金額で測る話を、同じ発表の中で並べていることです。全従業員への開放という「量」と、四半期ごとの事業価値という「成果」の両方を、数字で示しています。

もう1つは、目標と実績を分けて語っていることです。第1四半期の3,500万ユーロは実績、年末の2億ユーロ超は「見込み」、2026〜2028年の10億ユーロ超は「目標」と、それぞれ表現が異なります。英国の24万件も「計画」です。分けて読めることが、この発表の使いやすさになっています。

日本の中小企業が真似できる3点

① 使える人の数と、使っている人の数を分けて数える。 サンタンデールは、全員が使える状態にする一方で、以前の実利用者が約4万人だったことも明示しています。配った数ではなく、実際に使った人の数を毎月見る習慣は、規模を問わず使えます。

② 成果は目標・見込み・実績に分けて書く。 社内の報告でも、「見込み」と「実績」が混ざると信頼が落ちます。AI導入の効果は、この3つを分けて書くと説明しやすくなります。

③ 電話や問い合わせの一部から、セルフサービスに移す。 英国の計画は、音声窓口のうちカード関連の問い合わせから始めています。全部ではなく、種類を絞った一部から始める順番は、小さな会社でも使えます。

全社に配ったAIが定着しているかを測り、問い合わせ対応などの現場の仕事に合わせて入れていく進め方を、一緒に考える選択肢として、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもあります。

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注意して読むべき点

  • 「事業価値」の内訳は示されていません。発表は事業価値を「追加の収益とコスト削減の組み合わせ」と説明していますが、3,500万ユーロのうちどれだけが収益で、どれだけがコスト削減かは示されていません。2025年8月の発表は「2024年にAIで2億ユーロ超の節約」と書いており、2026年の「年末までに2億ユーロ超」との関係(同じ指標か、別の定義か)も出典に書かれていません
  • 「年末までに2億ユーロ超」「10億ユーロ超」は見込みと目標です。実績ではありません
  • 「18.5万人がAIを使える」は利用環境の話で、実際の利用率ではありません。以前の実利用者が約4万人だったことは示されていますが、開放後の利用者数は出典にありません
  • 英国の24万件は「計画」(原文は target)で、削減時間も「見込み」です。対象はカード関連の問い合わせで、導入は始まったばかりと説明されています。実績の数字は出典にありません
  • ブラジルの「約95%速く」「最大90%の自動化」は、カード不正の請求処理に限った数字です。何と比べて95%なのかは示されていません
  • 2025年8月の発表ページには日付の表示がありません。当記事では、同じ内容を2025年8月13日付で報じた報道(FinTech Global)に基づいて発表日を記載しています
  • 出典は自社の発表が中心です。第三者が検証した数字ではありません。2026年6月の発表には、開発(コード生成)の数字も含まれますが、当記事では営業・顧客対応・全社展開の数字だけを扱っています

よくある質問

Q. サンタンデールはAIをどう使っていますか?

全従業員へのAI環境の提供、コンタクトセンターのAIコパイロット、英国の通話のセルフサービス化、不正請求の処理、マネーロンダリング対策などが公表されています(Santander・2025年8月、2026年6月22日)。

Q. 3,500万ユーロとは何の金額ですか?

2026年第1四半期にAIが生んだ「事業価値」と発表されています。発表は事業価値を追加の収益とコスト削減の組み合わせと説明していますが、内訳は示されていません。

Q. 中小企業でも全社展開はできますか?

規模が違っても、使える人の数と実際に使った人の数を分けて数えることはできます。最初は1つの部署や1つの業務で使われ方を測り、使われた場面を共有しながら広げてください。

出典

出典と、その読み方

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