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「AIに聞く」から「AIに頼む」へ。年44.8万時間を削減、総労働時間の3.4%に到達|パナソニック コネクトの事例

公開 2026-08-10 / 約6

年間の労働時間削減(2024年実績)

44.8万時間

出典:自社発表2025-07-07時点)

地域
🇯🇵 日本
業種
BtoB製造・ソリューション
AI化した領域
社内ナレッジ検索/文書作成/設計・図面照合/AIエージェント
出典の種別
自社発表

日本の最先端では、社内AIが3年目に入り全社の総労働時間の3.4%を動かす規模に育っています。2023年2月に社内AIアシスタント「ConnectAI」を全社導入したパナソニック コネクトは、1年目18.6万時間→2024年実績44.8万時間と削減幅を伸ばし、2030年には10%削減を掲げています。しかもこの伸び方には、再現できる理由があります。

この事例の要点

  • 2023年2月に社内AIアシスタント「ConnectAI」を全社導入。目的は業務生産性・AIスキル向上・シャドーAI対策の3つ
  • 1年目(2023年6月〜2024年5月)で18.6万時間の労働時間削減を公表
  • 2024年実績は44.8万時間。1年で2.4倍に伸びた
  • 2026年7月には総労働時間の3.4%削減に到達したと公表し、2030年に10%削減を目標に設定
  • 伸びた要因として同社が挙げているのは、社員の使い方が「聞く」から「頼む」へシフトしたこと

どんな会社か

パナソニックグループのBtoB事業を担う会社で、サプライチェーンや現場向けのソリューションを手がけています。従業員は約1.2万人規模。製造業のBtoB企業という点が、自社と比べるときの前提になります。

何をAI化したのか

出発点は社内版ChatGPTです。全社員が使える環境を先に整え、そこから対象を広げています。

  • 社内ナレッジの検索 — 散在する社内文書に対して自然文で聞ける状態にする
  • 文書作成 — 報告書・議事録・企画のドラフト
  • 設計・図面の照合 — 2026年2月には図面と設計仕様の照合業務向けに独自開発のAIエージェントの利用を開始
  • AIエージェントへの拡張 — 単発の質問応答から、業務を任せる形へ

注目すべきは順番です。先に全社員が触れる環境を作り、後から業務特化のエージェントに広げている。最初から個別業務の自動化を狙っていません。

なぜここまで伸びたのか|「聞く」から「頼む」へ

ConnectAIの削減時間の推移。2023年度18.6万時間→2024年44.8万時間→総労働時間の3.4%削減、2030年に10%削減目標
ConnectAIの削減時間の推移。2023年度18.6万時間→2024年44.8万時間→総労働時間の3.4%削減、2030年に10%削減目標

同社が2年目の伸びの要因として挙げたのが、この使い方の変化です。

  • 聞く … 「〜とは何か」「〜を要約して」。1回で完結する使い方
  • 頼む … 「この条件で企画案を3つ出して、それぞれの弱点も書いて」。手順を任せる使い方

同じツールでも、後者のほうが1回あたりの削減時間が大きくなります。ツールを増やしたのではなく、使い方の水準が上がって効果が2.4倍になったという点が、この事例のいちばん重要な部分です。

日本の中小企業が真似できる3点

同じ方向に踏み出すための、最初の3歩です。規模は違いますが、構造はそのまま持ち帰れます。

① 目的を「業務効率」だけにしない

同社は導入目的に「社員のAIスキル向上」と「シャドーAI利用リスクの軽減」を並べています。効率だけを掲げると、使わない社員を責める話になりがちです。スキル向上を目的に入れると、使ってみること自体が成果になります。

② 「頼む」使い方を型にして配る

「聞く」で止まっている組織は、削減効果が小さいまま停滞します。効いているプロンプトを個人の中に留めず、チームで使える形(テンプレ・手順)にして配る。ここが2.4倍の差になった部分です。

③ 数字を測って公表する

同社は毎年、削減時間を具体的に出しています。社内向けでも、これをやると次の投資判断ができます。逆に測っていない組織は、翌年の予算を感覚で決めることになります。

なお「頼む」水準の型づくりと、業務特化のエージェント開発は、社内に手を動かせる人がいないと止まりがちな部分です。営業・マーケの実務を理解している外部に実装まで任せる選択肢もあり、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもその1つとして検討する余地があります。

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注意して読むべき点

数字の読み方には前提があります。

  • 削減時間はいずれも同社の公表値です。決算資料で監査された数値ではありません
  • 「総労働時間の3.4%削減」は全社の合計に対する比率です。部門ごとの効果は当然ばらつきます
  • 従業員規模が大きいため、絶対値(44.8万時間)はそのまま中小企業と比較できません。比率(3.4%)のほうが参考になります

とはいえ、3年にわたって同じ指標で公表し続けている企業はほとんどありません。継続して測っていること自体が、この事例の価値です。

よくある質問

Q. 削減時間はどれくらいのペースで伸びたのですか?

1年目(2023年6月〜2024年5月)が18.6万時間、2024年実績が44.8万時間で、1年で約2.4倍に伸びています。2026年7月には総労働時間の3.4%削減に到達したと公表し、2030年に10%削減を目標としています。導入初年度で頭打ちにならず、使い方の変化とともに伸び続けている点がこの事例の要点です。

Q. なぜ2年目以降に伸びたのですか?

同社が挙げているのは、社員の使い方が「聞く」から「頼む」へシフトしたことです。調べものの相手としてAIを使う段階から、作業そのものを任せる段階に移ると、1回あたりに浮く時間が変わります。導入直後に効果が小さくても、使い方の成熟で伸びる余地があるという読み方ができます。

Q. 中小企業でも同じことができますか?

設計思想は規模を問いません。目的を「生産性・スキル向上・シャドーAI対策」の3つに置いた点と、社内文書を自然文で検索できる状態にした点は、数人の会社でもそのまま成立します。同じ規模の削減時間は前提が違うので比較にはなりませんが、型は流用できます。まず社内で最も探し物に時間がかかっている資料群を1か所にまとめるところからです。

Q. 削減時間を自社でどう測ればよいですか?

導入前の実測を先に取ることです。この事例のように年単位で比較するには、開始時点の「1件あたり何分かかっているか」が残っている必要があります。日報でもログでも構わないので、AIを入れる前に対象業務の所要時間を数件だけ計っておくと、後から効果を語れる状態になります。

出典

出典と、その読み方

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