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全社員参加のコンテストに425件、月295人日分の削減試算|フジパンの事例

公開 2026-09-21 / 約11

全社員参加の生成AIチャレンジコンテスト応募作品を自己申告ベースで集計した業務時間削減の試算(エクサウィザーズ発表・2025年9月17日)

月295人日分

出典:ベンダー事例2025-09-17時点)

地域
🇯🇵 日本
業種
食品製造業(製パン)
AI化した領域
営業資料作成の自動化/社内文化としてのAI活用/社内問い合わせの自動応答/全社員参加型のAI活用コンテスト
出典の種別
自社発表/報道/ベンダー事例

「AIツールを配ったのに誰も使わない」——多くの会社が最初にぶつかる壁です。フジパンが最先端なのは、そこを技術ではなく参加のしかけで突破した点にあります。2025年3月、全社員が対象の生成AIチャレンジコンテストを実施したところ、425件の応募が集まり、自己申告ベースで集計すると月あたり約295人日分の業務時間削減に相当する試算が出ました。そして個人部門の最優秀賞は、まさに営業の現場が生んだ「商談準備プロンプト」。その5か月後には、約2万3千人・年間約42万件(推定)の社内問い合わせを自動応答するチャットボットの導入も発表されました。同じ年に「現場の参加」と「全社インフラ」が2段構えで進んだ流れを、出典と発表日つきで整理します。

この事例の要点

  • 2025年3月1〜31日、フジパングループの全社員を対象に生成AIチャレンジコンテストを実施(自社発表・2025年3月18日)
  • 応募は425件。全応募作品を自己申告ベースで集計すると、月あたり約141,000分=約295人日分の業務時間削減に相当する試算結果に(エクサウィザーズ発表・2025年9月17日)
  • コンテスト後のアンケートでは、「次回またコンテストがあれば参加したいか」に90%以上が「参加したい」と回答(同上)
  • 個人部門の最優秀賞は営業資料作成を自動化する「商談準備プロンプト」、団体部門の最優秀賞は複雑な評価プロセスを効率化する「事業評価プロンプト」。受賞プロンプトはテンプレート化して社内ポータルで全社共有
  • コンテスト実施の約5か月後、約2万3千人の従業員からの社内問い合わせを自動応答するAIチャットボット「HUEチャットボット」の導入を発表(2025年8月18日)。年間約42万件(推定)の問い合わせのうち、まず15%(約6.3万件)の自動化を見込む(目標値)。活用は総務窓口から開始し、人事関連などへの展開は今後の予定
  • チャットボットはベトナム語・インドネシア語など多言語に対応し、夜勤者や外国籍従業員も24時間問い合わせできる設計

どんな会社か

フジパン株式会社は、愛知県名古屋市に本社を置く製パン大手です。エクサウィザーズの事例記事によれば、従業員数は14,740人(2024年3月時点)。パンや菓子パンを全国に供給する製造業で、工場・営業所・店舗など拠点が広く分散し、現場の従業員に情報や新しいツールをどう浸透させるかが課題になりやすい組織構造です。同社は2024年夏ごろから複数の生成AIサービスを比較検討し、「exaBase 生成AI」を全社導入しています。

何が課題だったのか

エクサウィザーズの事例記事によれば、フジパンが直面していたのは「ツールを入れても使われない」という、AI導入でもっとも一般的な壁でした。生成AIチャレンジコンテストは、この心理的な障壁を取り除くための企画として位置づけられています。

同時に、ワークスアプリケーションズの発表によれば、社内問い合わせの側にも課題がありました。年間約42万件にのぼる社内問い合わせが人手で処理されており、とくに夜勤者や外国籍従業員にとっては、日中の窓口対応だけでは不便が生じていたことが導入の決め手になったとされています。

何をAI化したのか

フジパンのAI活用は、2025年のうちに①現場の自発的な活用を増やす施策→②全社インフラの導入という順番で並んでいます(出典上は別々の取り組みです)。

時期施策内容
2025年3月生成AIチャレンジコンテスト全社員が「exaBase 生成AI」を使い、業務改善・新サービス・次世代商品開発などのアイデアを1か月間で応募。個人賞・団体賞の2部門
2025年8月「HUEチャットボット」導入約2万3千人の従業員からの社内問い合わせを多言語AIチャットボットで自動応答。まず年間約42万件(推定)のうち15%(約6.3万件)の自動化を目標に設定。活用は総務窓口から開始

コンテストの個人部門最優秀賞「商談準備プロンプト」は、営業資料作成の自動化というテーマでした。パン・食品メーカーの現場発のアイデアが、営業という当社と同じ領域で評価された点は見逃せません。

なぜここまでできたのか

フジパンの事例。2025年3月に実施した全社員対象の生成AIチャレンジコンテストには425件の応募があり、応募作品の自己申告集計で月あたり295人日分の削減試算。社内問い合わせ自動化は年42万件(推定)の15%=約6.3万件が当面の目標値で、実績ではない
フジパンの事例。2025年3月に実施した全社員対象の生成AIチャレンジコンテストには425件の応募があり、応募作品の自己申告集計で月あたり295人日分の削減試算。社内問い合わせ自動化は年42万件(推定)の15%=約6.3万件が当面の目標値で、実績ではない

フジパンの進め方で参考になるのは、いきなり全社インフラを入れなかったことです。エクサウィザーズの事例記事は、コンテストの狙いを「社員の前向きな参加を促し、組織文化の変革につなげること」と説明しています。ツールの機能を説明する前に、「自分たちで使ってみたら成果が出た」という体験を先に作ったわけです。

その効果は、応募の量と質の両方に表れました。想定を超える425件の応募が集まり、個人部門で選ばれた「商談準備プロンプト」は、情報システム部門が想定した使い方ではなく、営業の現場が自分の業務から見つけたアイデアです。団体部門の「事業評価プロンプト」も同様に、複雑な評価プロセスという現場の実務課題から生まれています。テンプレート化して社内ポータルで共有する仕組みまで作ったことで、コンテストが一過性のイベントで終わらない設計になっています。

そして2025年8月、コンテストからおよそ5か月後に、約2万3千人の従業員を対象とする「HUEチャットボット」の導入が発表されました。ワークスアプリケーションズの発表は、この段階の狙いを24時間対応・多言語対応に置いています。夜勤や外国籍の従業員という、コンテスト型の施策では届きにくい層への対応です。なお、この2つは担当部門もベンダーも異なり、出典はどちらも一方が他方を生んだとは述べていません。それでも同じ1年のうちに、現場の参加を促す施策と全社インフラの投資が別々の形で進んだという並び方自体が、この事例の骨格です。

中小企業が真似できる3点

① 「使い方」を教える前に「使ってみる」場を作る。 フジパンが最初に投資したのは高機能なツールではなく、1か月間のコンテストでした。中小企業でも、部署やチームで「AIで削減できた時間」を報告し合う小さな企画は、明日から始められます。

② 現場から出たアイデアを、そのまま業務に戻す。 「商談準備プロンプト」のように、コンテストで見つかったアイデアをテンプレート化して共有した点が重要です。優勝を決めて終わりにせず、再利用できる形に変換する一手間が定着を左右します。

③ 対象を絞った目標値から始める。 チャットボットの導入発表では、年間42万件すべてではなく「まず15%」という現実的な目標が示されています。最初から100%を狙わないことが、後で「思ったほど減らなかった」という評価の失敗を避けます。

私たちAIリモートワーカーも、営業・マーケの現場でAIを「配って終わり」にしないための伴走支援を行っています。現場から出たアイデアを型にして広げる進め方に関心があれば、選択肢の1つとして検討いただけると思います。

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注意して読むべき点

  • 「月295人日分」は自己申告ベースの試算です。エクサウィザーズの発表原文は「全応募作品について、どれだけの時間削減につながったかを自己申告ベースで集計したところ、月あたり約141,000分、つまり約295人日分の業務時間削減に相当するという試算結果が出ました」と説明しており、第三者による監査や実測ではありません
  • 応募件数(425件)は公表されていますが、参加率は算出できません。エクサウィザーズの事例記事に従業員数14,740人(2024年3月時点)とあるのはフジパン株式会社単体の数字で、コンテストの対象は「フジパングループの全社員」です。グループ全体の従業員数(チャットボットの発表では約2万3千人)とは母数が異なるため、応募425件から参加率を出すことはできません
  • 「6.3万件の自動化」は目標値であり、実績ではありません。ワークスアプリケーションズの発表原文は「まずは15%(約6.3万件)の自動化を見込んでおり」であり、導入後の達成状況は本記事執筆時点(2026年9月)では確認できていません
  • 年間約42万件という社内問い合わせ件数は「推定」と説明されています。正確な集計値として公表されたものではない可能性があります
  • コンテストの結果記事はベンダー(エクサウィザーズ)による事例紹介であり、フジパン自身が同じ数字を単独で公表した一次資料は確認できていません(フジパン側の一次資料はコンテストの実施を告知した2025年3月のプレスリリースまでで、結果の数字は含まれていません)。チャットボット導入はワークスアプリケーションズの発表で、フジパングループ本社 総務部のコメントが直接引用されています
  • コンテストとチャットボット導入は、出典上は別々の取り組みです。前者はDX推進部が主導しエクサウィザーズのサービスを使った施策、後者は総務部門の課題からワークスアプリケーションズのサービスを導入したものです。本記事が「2段構え」と呼んでいるのは時系列の並びであって、出典が因果関係を述べているわけではありません

よくある質問

Q. フジパンはAIで人員を削減したのですか?

出典に人員削減の記載はありません。生成AIチャレンジコンテストの目的は「業務効率の向上」「新サービスの創出」「次世代商品の開発」であり、チャットボット導入の狙いも夜勤者・外国籍従業員への対応改善が中心に説明されています。

Q. 中小企業がこの事例から最初に真似すべきことは何ですか?

高機能なツールの導入より先に、社員が自分の業務でAIを試す場を作ることです。フジパンは1か月間の全社員参加コンテストという軽い施策から始め、425件の応募から出たアイデア(営業資料作成の「商談準備プロンプト」など)をテンプレート化して全社で使える形に戻しました。費用をかけずに始められて、現場に何が眠っているかが分かるのがこの順番の利点です。

Q. 「月295人日分」という数字はどこまで信用できますか?

自己申告ベースの試算であることが出典に明記されています(「全応募作品について、どれだけの時間削減につながったかを自己申告ベースで集計した」)。監査済みの実績値ではなく、425件の応募者自身の見積もりを積み上げたものです。ただし、コンテストという参加型の施策で現場の実感値を可視化した点には価値があります。数字の大きさよりも、「現場から自発的な報告が425件集まる状態を作れたこと」自体が学びどころです。

Q. 6.3万件の問い合わせ自動化はすでに達成されているのですか?

いいえ、2025年8月時点で発表されたのは目標値です。「まずは15%(約6.3万件)の自動化を見込んでおり」という表現に加え、活用は総務窓口から始めて人事関連などへ広げる予定と説明されており、段階的に拡大していく計画であることがわかります。本記事執筆時点(2026年9月)で、導入後の実績を確認できる続報は見つかっていません。

Q. コンテストのような施策は、どんな規模の会社でも真似できますか?

規模に関わらず応用できます。フジパンの工夫は、コンテストという参加のハードルが低い形式を選んだことと、受賞アイデアをテンプレート化して全社共有まで一気通貫で設計したことです。数人〜数十人の会社でも、「今月AIで時短できたこと」を共有する簡単な仕組みから始められます。

出典

出典と、その読み方

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