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生成AIの社内利用経験は100%、コンタクトセンターの待ち時間は95秒から65秒へ|ライフネット生命の事例

公開 2026-10-26 / 約7分

対話型AIとAIボイスボットの導入後に短縮した、コンタクトセンターでオペレーターが応対するまでの顧客の待ち時間(ライフネット生命の発表・2026年5月27日。測定の期間は示されていない)

95秒→65秒

出典:自社発表(2026-05-27時点)

地域
🇯🇵 日本
業種
生命保険(ネット生保)
AI化した領域
社内AI基盤/コンタクトセンター/ボイスボット/業務効率化
出典の種別
自社発表/報道

社内向けの生成AIを入れた会社は多くありますが、対象の社員全員が一度は使ったと言える会社は多くありません。ライフネット生命は、2026年5月27日の発表で、生成AIの社内利用率が100%に達したと述べています(2026年3月31日時点の総合職正社員〈休職者を除く〉のうち、社内用LLMツールまたはGeminiの利用経験者の割合)。同じ発表で、2025年11月に入れた対話型AIとAIボイスボットにより、コンタクトセンターでオペレーターが応対するまでの顧客の待ち時間が95秒から65秒に短くなったとも示しています。出典と発表日つきで整理します。

この事例の要点

  • 2024年7月に、自社で作った社内用の大規模言語モデル(LLM)のツールを従業員に公開。同年8月からは全従業員に「Google Workspace with Gemini」を段階的に展開(ライフネット生命の発表・2026年5月27日)
  • 総合職正社員(休職者を除く)のうち、社内用LLMツールまたはGeminiの利用経験者は100%(2026年3月31日時点・同発表)。それ以前の2025年1月時点では、社内用LLMの利用率が総合職正社員203人の87%(Impress・2025年4月11日)
  • 導入2か月(2024年8月)の社内調査で、回答者56人の合計で約152時間の業務時間削減(Impress・2025年4月11日)
  • 2025年11月、コンタクトセンターに対話型AIとAIボイスボットを導入。オペレーターが応対するまでの顧客の待ち時間が95秒から65秒へ(同発表)
  • 同じ導入により、控除証明書の再発行を24時間受付できるようにしたことも併せて発表されています

どんな会社か

ライフネット生命は、インターネットで生命保険を販売するネット生保です。対面の営業網を持たない分、申込みから問い合わせ対応までを少ない人数で回す必要があり、業務の仕組みづくりが事業そのものに直結します。

Impressの記事によると、同社は2023年7月にAI活用の推進プロジェクトチームを立ち上げ、2024年7月に社内用LLMを自社で構築して公開しました。

何が課題だったのか

公表資料に「課題」としてまとめた記述はありません。読み取れる範囲では、課題は2つあったと考えられます(以下は推測です)。

1つは、ツールを用意しても社員が使い始めるとは限らないこと。Impressの記事では、開発チームによる活用方法の勉強会を開いたことが紹介されています。もう1つは、電話の待ち時間です。コンタクトセンターは問い合わせが集中すると待ち時間が伸びやすく、同社は待ち時間の短縮を成果として挙げています。

何をAI化したのか

領域内容公表時期
社内用LLM自社で構築したLLMを従業員へ公開。アイデアの壁打ち、情報の調査、数式やプログラムの記述などに利用2024年7月に導入
Google Workspace with Gemini全従業員に段階的に展開2024年8月から
コンタクトセンター対話型AIとAIボイスボットを導入。オペレーターが応対するまでの待ち時間は95秒から65秒に2025年11月に導入
手続きの受付控除証明書の再発行を24時間受付(コンタクトセンターへのAI導入による成果として発表)2025年11月の導入以降

発表では、将来の構想として、マイナンバー制度の活用とAIを組み合わせ、申込みから保険金・給付金の受け取りまでの一連の流れを自動化する方向性も示されています(構想であり、実績ではありません)。

なぜここまでできたのか|社内で使い慣れた人が、顧客対応にもAIを入れた

ライフネット生命の公表値。社内の生成AI利用経験者 100%(2026年3月31日時点・総合職正社員)/コンタクトセンターの待ち時間 95秒から65秒(2025年11月のAI導入後)/導入2か月の削減 回答者56人で約152時間(2024年8月の社内調査)
ライフネット生命の公表値。社内の生成AI利用経験者 100%(2026年3月31日時点・総合職正社員)/コンタクトセンターの待ち時間 95秒から65秒(2025年11月のAI導入後)/導入2か月の削減 回答者56人で約152時間(2024年8月の社内調査)

この事例の特徴は、顧客向けのAIより先に、社内でAIを使い慣れる期間を作ったことです。社内用LLMの公開は2024年7月、コンタクトセンターへの導入は2025年11月で、およそ1年4か月の差があります。この順序が成果の理由だと出典は述べていませんが、社員がAIの得意・不得意に触れてから顧客対応に入れる形になっています。

また、使い始めを後押しする仕掛けも見えます。Impressの記事によれば、導入から半年後の利用率は87%まで上がっていました。「ツールを配る」だけでなく、勉強会などで使い方を共有する運用を続けたことが、全員が一度は使った状態につながったと読めます。

日本の中小企業が真似できる3点

① まず社内の文章・調べ物で使い慣れる。 アイデア出し、調べ物、数式やプログラムの下書きは、失敗しても顧客に影響しない用途です。ここで使い慣れてから、顧客対応に広げる順番にすると安全です。

② 利用率を「誰を分母に」測るか決めて、公表する。 同社は分母を総合職正社員、時点を日付で示しています。何を100%と呼ぶのかを先に決めておくと、数字が社内で一人歩きしません。

③ 顧客対応の効果は「待ち時間」のような分かりやすい指標で見る。 問い合わせ件数や人件費の話は部署で見方が割れますが、顧客が待つ秒数は誰でも同じものを見られます。

社内で使い始める人を増やす進め方や、顧客対応への広げ方は、会社ごとの業務で変わります。私たちAIリモートワーカーのようなサービスで一緒に整理する選択肢もあります。

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注意して読むべき点

  • 「利用率100%」は利用経験者の割合です。 発表の注記では、2026年3月31日時点の総合職正社員(休職者を除く)のうち、AIツール(自社開発LLMツール、Google Workspace with Gemini)の利用経験者の割合と定義されています。毎日使う人の割合ではありません
  • 「95秒から65秒」の測定条件は示されていません。 待ち時間は「オペレーターが応対するまで」の時間とされていますが、比較した期間や対象の時間帯は発表から読み取れません。変化の要因も、対話型AIとボイスボットの合算で、それぞれの寄与は分かりません
  • 「約152時間」は導入2か月の社内調査で、回答者56人の合計です。 1人あたりでは平均およそ2.7時間で、全従業員の削減時間ではありません。調査の質問内容は示されていません
  • 87%と100%は別の時点・別の定義の数字です。 87%は2025年1月時点の社内用LLMの利用率(総合職正社員203人が分母)、100%は2026年3月31日時点の社内用LLMツールとGeminiの利用経験者の割合です。同じ尺度で並べた推移ではありません
  • 出典は自社発表と報道の2本です。 発表は受賞の知らせの中で触れられたもので、効果の詳細な算出方法は書かれていません。第三者が検証した数字ではありません

よくある質問

Q. ライフネット生命は生成AIをどう使っていますか?

2024年7月に自社で構築した社内用LLMを従業員に公開し、同年8月から全従業員にGoogle Workspace with Geminiを展開しました。2025年11月には、コンタクトセンターに対話型AIとAIボイスボットを導入しています(ライフネット生命の発表・2026年5月27日)。

Q. 生成AIの利用率はどのくらいですか?

2026年3月31日時点で、総合職正社員(休職者を除く)のうち社内用LLMツールまたはGeminiの利用経験者は100%と発表されています。それ以前の2025年1月時点では、社内用LLMの利用率が総合職正社員203人の87%でした(Impress・2025年4月11日)。

Q. 中小企業でもコンタクトセンターにAIを入れられますか?

電話の自動応答は、よくある問い合わせ(手続きの受付など)から小さく始められます。待ち時間のような簡単な指標を先に決め、導入の前後で同じ条件で測ると、効果を確かめやすくなります。

出典

出典と、その読み方

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