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チャットの75%を人を介さずチャットボットが完結、2年で46%から上昇|INGの事例

公開 2026-10-29 / 約9分

人の手を介さずにチャットボットだけで完結したチャットの割合(2025年末時点。2023年は46%・2024年は54%。INGの投資家向け説明資料・2026年3月18日)

75%

出典:決算・年次報告(2026-03-18時点)

地域
🇳🇱 オランダ(海外)
業種
銀行(金融)
AI化した領域
顧客対応/コンタクトセンター/マーケティング/与信・審査/業務効率化
出典の種別
決算・年次報告/報道

銀行の問い合わせ窓口は、AIがどこまで受け持てるのか。オランダの大手銀行INGでは、顧客とのチャットのうち人の手を介さずにチャットボットだけで完結した割合が、2023年の46%から2025年末には75%まで上がりました(INGの投資家向け説明資料・2026年3月18日)。生成AIのチャットボットは7か国で稼働し、そのうち4か国では8割を超えるチャットを人の手を介さずに解決していると説明しています。問い合わせ対応だけでなく、マーケティングや融資の審査まで、AIの使い道を同じ仕組みで広げている事例です。出典と発表日つきで整理します。

この事例の要点

  • 人の手を介さずチャットボットだけで完結したチャットの割合は、2023年46%→2024年54%→2025年75%(いずれも年末時点。INGの投資家向け説明資料・2026年3月18日)
  • 生成AIのチャットボットは7か国(オランダ・ベルギー・ドイツ・スペイン・イタリア・ルーマニア・オーストラリア)で稼働し、うち4か国でチャットの80%超を人の手を介さずに解決(同資料・2025年度年次報告)
  • 人が電話・チャットで対応した問い合わせは、2021年と比べて2025年に43%減(同資料。2023年は18%減、2024年は26%減)
  • マーケティングでは、顧客ごとに内容を出し分ける施策で成約率が3%超上昇し、6か国に展開(同資料)
  • 2026年は業務部門(オペレーション)で約1,250人分の人員減を見込み、主な対象は本人確認・マネーロンダリング対策などの業務(同資料。見込みであり実績ではありません)

どんな会社か

INGグループは、オランダ・アムステルダムに本社を置く大手銀行グループです。2025年度の年次報告によると、38か国で約4,000万の個人・法人顧客と取引しています。店舗よりもスマートフォンのアプリを主な窓口とする「デジタル優先」の銀行として知られています。

業務部門の多くは、ポーランド・ルーマニア・スロバキア・トルコ・フィリピン・スペインなどにある「ハブ」と呼ばれる拠点に集約されており、ハブで働く人は約1万4,000人です(同資料)。

何が課題だったのか

INGが資料で掲げているのは、顧客が増えても、人員とコストを同じ割合で増やさずに対応することです。電話とチャットの問い合わせは、顧客が増えるほど人手が要る代表的な業務です。

もうひとつは、本人確認・マネーロンダリング対策の業務の重さです。同資料によると、この関連業務には約6,000人が携わっています。どちらも、件数が多く手順が決まっている業務である点が共通しています。

何をAI化したのか

領域内容公表された数字
顧客対応(チャット)生成AIのチャットボットを7か国で稼働。チャットと音声で24時間回答人を介さず完結したチャット 2025年末75%(2023年末46%)/4か国で80%超
問い合わせの削減アプリでの自己解決を増やし、人が対応する電話・チャットを削減2021年比で2025年に43%減
マーケティング顧客一人ひとりに合わせて内容を出し分けるキャンペーン(生成AIで作るキャンペーンはベルギー・ドイツ・スペイン・ルーマニア・ポーランドで稼働)成約率3%超の上昇・6か国に展開
融資の審査オランダの個人向けローンで即時に審査結果を出す即時に審査が決まる割合65%
住宅ローン必要な情報を集め、手続きの準備を自ら進めるAIアシスタント(AIエージェント)の試行をオランダで開始。ドイツでは1年以内の稼働を見込む効果の数字は非公表
社員の育成データ活用の研修を、従業員・専門職・管理職の3層に分けて実施2025年に14か国・18部門の8,700人超が参加(年次報告)

なぜここまでできたのか|AIの担当を1つのチームにまとめ、試行を本番に移す

INGの公表数字。チャットボットだけで完結したチャットの割合 2023年46%→2024年54%→2025年75%/人が対応した問い合わせ 2021年比43%減(2025年)(いずれもINGの投資家向け説明資料・2026年3月18日)
INGの公表数字。チャットボットだけで完結したチャットの割合 2023年46%→2024年54%→2025年75%/人が対応した問い合わせ 2021年比43%減(2025年)(いずれもINGの投資家向け説明資料・2026年3月18日)

この事例の特徴は、AIの取り組みを部門ごとにばらばらに進めていないことです。資料では、データ分析とAIの担当を全社で1つのチームにまとめ、同じ基盤の上で、効果の大きい12のテーマ・100件超の取り組みに人と予算を集中させていると説明しています。そのうえで、生成AIの試行の90%超を本番の業務に移しているとしています。

もうひとつは、AIの前に、手順のデジタル化を10年かけて進めてきたことです。INGは主要な手続きのうち、人の手を介さずに処理できた割合を「デジ指数」として毎年追っており、2023年71%→2025年82%と上げてきました。チャットボットが問い合わせを完結できるのは、その先の手続き自体がアプリで終わるように作られているからです。

さらに、数字の追い方を年ごとに揃えている点も参考になります。完結率・問い合わせの削減率・デジ指数の3つを、2023年から同じ定義で並べて示しています。

中小企業が真似できる3点

① 「AIが最後まで対応できた割合」を1つの数字で追う。 INGは「人を介さずに完結したチャットの割合」を年末ごとに比べています。問い合わせ対応にAIを入れるなら、導入前に同じ指標を決めておくと、効果を説明しやすくなります。

② AIの前に、手続きをオンラインで完結できるようにする。 チャットボットが答えても、その先の手続きが電話や紙でしかできなければ、結局は人が対応することになります。よく聞かれる問い合わせから、手続きの流れを見直すのが近道です。

③ 試行で終わらせず、本番に移す基準を決める。 INGは試行の9割超を本番に移したと説明しています。小さな会社でも「この数字を超えたら全員で使う」と先に決めておくと、試しただけで止まる状態を避けやすくなります。

どの問い合わせや業務からAIに任せるかは、会社によって違います。私たちAIリモートワーカーのようなサービスで、一緒に整理する選択肢もあります。

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注意して読むべき点

  • 主な数字は、投資家向けの説明資料(2026年3月18日)にあるもので、監査を受けた数字ではありません。 資料にも「すべての数字は監査を受けていない」と書かれています
  • 問い合わせの削減率は、同じ年次報告の中で表現が食い違っています。 年次報告の本文と説明資料では「2025年に43%減」(2021年比)ですが、年次報告の役員報酬の説明部分には「2021年比で23%減」とあり、どちらがどの範囲の数字かは示されていません
  • 「80%超」は4か国の数字で、7か国全体の平均ではありません。 どの4か国か、時点はいつかも示されていません。全体の数字は2025年末の75%です
  • 成約率の「3%超の上昇」は、比較の基準(何と比べたか)が示されていません。 生成AIによる効果だけを切り出した数字でもありません
  • 約1,250人の人員減は2026年の見込みです。 AIだけが理由ではなく、手続きのデジタル化や拠点の集約も含めた業務部門全体の見込みです。報道(NL Times)によると、オランダ国内では最大950人の削減の見通しを雇用当局に届け出ていましたが、どの職がどれだけ対象になるかは決まっていないと銀行側は説明していました

よくある質問

Q. INGのチャットボットはどのくらいの問い合わせを解決していますか?

人の手を介さずにチャットボットだけで完結したチャットの割合は、2025年末時点で75%です。2023年は46%、2024年は54%でした。生成AIのチャットボットは7か国で稼働し、うち4か国では80%超を人を介さずに解決していると説明しています(いずれもINGの投資家向け説明資料・2026年3月18日。監査は受けていない数字です)。

Q. INGはAIで人員を減らしているのですか?

2026年に業務部門で約1,250人分の人員減を見込むと説明しています。主な対象は本人確認・マネーロンダリング対策などの業務で、AIだけでなく手続きのデジタル化や拠点の集約も含めた見込みです。実績ではありません。

Q. マーケティングではAIをどう使っていますか?

顧客一人ひとりに合わせて内容を出し分ける施策を6か国に展開し、成約率が3%超上がったと説明しています。生成AIで作るキャンペーンは、ベルギー・ドイツ・スペイン・ルーマニア・ポーランドで稼働しています(年次報告)。比較の基準は示されていません。

Q. 中小企業がこの事例から最初に真似すべきことは何ですか?

「AIが最後まで対応できた割合」を1つの数字に決めて、導入前から追うことです。INGは同じ定義の数字を年ごとに並べて示しています。あわせて、チャットボットが答えた先の手続きがオンラインで完結するかを確かめると、効果が出やすくなります。

出典

出典と、その読み方

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