通話の品質チェックをAIで自動化し年約2.4万時間を削減|KDDIの事例
公開 2026-10-12 / 約8分
応対品質を管理する工数の年間削減(音声認識で全音源の評価を自動化。KDDIとアルティウスリンクの発表・2024年11月11日。削減前の基準時間は示されていない)
約2.4万時間
出典:自社発表(2024-11-11時点)
- 地域
- 🇯🇵 日本
- 業種
- 通信
- AI化した領域
- 顧客対応/コンタクトセンター/品質管理/社内ナレッジ検索
- 出典の種別
- 自社発表/報道
カスタマーセンターのAI活用というと「お客さまの質問に答えるチャットボット」を思い浮かべがちですが、KDDIは応対の品質を管理する仕事にもAIを入れています。音声認識ツールで通話の全音源の評価を自動化し、応対品質を管理する工数を年間約2万4,000時間削減しました(KDDIとアルティウスリンクの発表・2024年11月11日)。同じ発表で、LINEアカウント「auサポート」の生成AIチャットボットは完結率85%、お客さまアンケートの満足度は+3.6ポイントの84%と報告されています。2025年3月には、生成AIで問い合わせの意図を読み取るデジタルヒューマンの窓口も始まりました(KDDIの発表・2025年3月3日)。出典と発表日つきで整理します。
この事例の要点
- 音声認識ツールで通話の全音源の評価を自動化し、応対品質を管理する工数を年間約2万4,000時間削減(KDDIとアルティウスリンクの発表・2024年11月11日)
- LINEアカウント「auサポート」で、2024年3月から生成AIを使ったチャットボットを導入し、完結率85%(同発表)
- 全件評価をもとにオペレーターへフィードバックし、お客さまアンケートによる満足度は+3.6ポイントの84%(同発表)
- 両社はELYZAと連携し、対話の要約や文章生成を効率化するコンタクトセンター特化型のLLMアプリを開発し、「Altius ONE for Support」の標準機能として提供(同発表)
- 2025年3月10日、生成AIとデジタルヒューマンを組み合わせた「au Support AI Advisor」を導入。2025年度中にau関連の全問い合わせ項目への対応拡大を計画(KDDIの発表・2025年3月3日)
どんな会社か
KDDIは、auブランドの携帯電話を中心に通信サービスを個人と法人に提供する大手通信会社です。カスタマーセンターの運営は、コンタクトセンター事業を手がけるアルティウスリンクと組んで進めています。
通信会社の問い合わせ窓口は、料金、端末、手続きと質問の種類が多く、応対の品質を保つための確認作業も大きな負担になります。「回答の自動化」と「品質管理の自動化」を別々の課題として見ると、後者のほうが見過ごされやすい点は、日本の中小企業のサポート部門にも当てはまります。
何が課題だったのか
公表資料から読み取れる課題は2つです。1つは問い合わせに早く答えること、もう1つは応対の品質を一定に保つことです。後者は、通話を聞いて評価する作業が人手では一部の通話の抜き取りに限られやすく、全件を見ようとすると工数が膨らみます(ここは一般的な構造からの推測で、KDDIが個別に説明した内容ではありません)。
発表では、音声認識で「オペレーターの全音源の応対評価を自動化」したことで、応対品質管理者の工数が年約2万4,000時間減ったと説明されています。KDDIお客さまセンターは、auやUQ mobileなどのお客さまから月間約200万件の問い合わせに対応しています(同発表)。
何をAI化したのか
| 領域 | 内容 | 公表時期 |
|---|---|---|
| LINEの問い合わせ窓口(auサポート) | 生成AIがお客さまの入力を要約・再質問するチャットボットで、完結率85%を実現 | 2024年3月に導入、2024年11月11日に実績を発表 |
| 応対品質の管理 | 音声認識ツールで全音源の応対評価を自動化し、オペレーターへのフィードバックに活用。管理工数を年約2万4,000時間削減 | 2024年11月11日に実績を発表 |
| オペレーターの業務支援 | ELYZAと連携した対話要約・文章生成のLLMアプリ(Altius ONE for Supportの標準機能) | 2024年11月11日の発表で言及 |
| デジタルヒューマンの窓口 | 問い合わせの意図を生成AIで読み取り、音声・文字・画像で回答。限られた問い合わせ項目から開始し、2025年度中にau関連の全項目へ拡大を計画 | 2025年3月10日に導入(発表は3月3日) |
なぜここまでできたのか|お客さま向けと社内向けを同時にAI化した

この事例の特徴は、AIをお客さまの目に見える窓口と、お客さまには見えない管理業務の両方に入れていることです。チャットボットは問い合わせを減らし、音声認識は通話の確認作業を減らします。どちらも「人が答える・人が確認する」前提のコンタクトセンターから、人が判断に集中できる形へ移す設計と読めます(ここは推測)。
もう1つは、現場で磨いた知見を他社向けの事業に変えたことです。両社は、KDDIお客さまセンターでの生成AI活用の知見を土台に、パイロットセンターを構え、法人顧客が見学・体験できるようにする新事業を始めました。チャットボットについては、両社の知見をもとに継続的にAIをチューニングする運用体制を作り、回答の精度を上げてきたと説明されています(2024年11月11日の発表)。自社の現場で使いながら直し続けたことが、外に出せる形にできた背景と読めます(ここは推測)。
その先の2025年には、チャットとデジタルヒューマンを組み合わせた窓口へ進みました。まず問い合わせ項目を絞って始め、段階的に広げる方針です。
日本の中小企業が真似できる3点
① 「答える」より先に「確認する」仕事を探す。 通話や商談の記録を人が聞き返して評価している作業は、音声の文字起こしと採点基準があればAIに任せやすい仕事です。まず自社で、人が聞き返している時間が長い作業を洗い出してください。
② 抜き取りを全件に変える。 同社は「全音源の評価」を自動化しました。数件だけ見ていた応対や商談を全件で見られると、改善点の見つけ方が変わります。
③ 項目を絞って始め、広げる。 デジタルヒューマンの窓口は、限られた問い合わせ項目から始めて段階的に広げる計画です。いきなり全問い合わせを任せず、答えの正確さを確かめながら範囲を増やす順番は、規模を問わず使えます。
通話や商談の記録をAIで評価する仕組みを、自社の現場に合わせてどこから入れるか迷ったときは、外部の知見を借りる選択肢もあり、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもその1つです。
ai-remote-worker.com AIリモートワーカー|営業・マーケのAI導入支援 営業・マーケティングのAI化を、月額定額または成果確認後払いで。実装まで踏み込む伴走型の支援です。注意して読むべき点
- 「約2万4,000時間」は削減前の基準が示されていません。何時間のうち何時間減ったのか、評価を全件にした結果なのか、他の見直しも含むのかは発表から読み取れません。また、KDDIとアルティウスリンクが新事業の紹介として出した数字で、第三者が検証したものではありません
- 「完結率85%」の定義が示されていません。チャットボットだけで問い合わせが解決した割合と読めますが、対象の問い合わせ範囲や測定期間は発表に書かれていません
- 満足度の改善は、AIだけの効果ではありません。発表では、全件評価をもとにオペレーターへフィードバックした結果と説明されています。人による指導を含む取り組み全体の数字で、AIの寄与だけを切り分けたものではありません
- 数字の時点が2024年11月です。最新の実績ではありません。2025年3月の発表は、デジタルヒューマンの導入計画と方針で、成果の数字は含まれていません
- 出典は自社発表が中心です。報道2本は同じ発表の内容を伝えるもので、独立した検証ではありません
よくある質問
Q. KDDIはカスタマーセンターでAIを何に使っていますか?
LINEの問い合わせ窓口でのチャットボット、通話の全音源の自動評価、オペレーター向けの要約・文章生成、デジタルヒューマンによる窓口の4つが公表されています(KDDIとアルティウスリンクの発表・2024年11月11日、KDDIの発表・2025年3月3日)。
Q. 年間約2万4,000時間の削減は、何の時間ですか?
応対品質を管理する工数です。音声認識ツールで通話の全音源の評価を自動化したことで減ったと説明されています(2024年11月11日の発表)。削減前の時間は示されていません。
Q. 中小企業でも通話の品質管理にAIを使えますか?
通話や商談の記録を文字に起こせる環境があれば、評価の基準を決めて、まず一部の通話で試すことができます。最初は人の評価とAIの評価を並べて比べ、ずれの大きい項目から基準を直すと、現場の納得感が得られやすくなります。
出典
- KDDIとアルティウスリンク、カスタマーサポート領域の新事業プロジェクトを開始(KDDI・2024年11月11日)
- KDDIとアルティウスリンク、カスタマーサポート領域の新事業プロジェクトを開始(BUSINESS NETWORK・2024年11月11日)
- KDDIとアルティウスリンク、「KDDIお客さまセンター」の生成AI活用などの知見を活用した新事業プロジェクトを開始(クラウド Watch・2024年11月12日)
- Launching "au Support AI Advisor," a Digital Human That Anyone Can Use with Ease(KDDI Newsroom・2025年3月3日)
出典と、その読み方
- 自社発表2024-11-11KDDIとアルティウスリンク、カスタマーサポート領域の新事業プロジェクトを開始(KDDI)
プレスリリース・自社ブログ等の公表値。前提条件は要確認
- 報道2024-11-11KDDIとアルティウスリンク、カスタマーサポート領域の新事業プロジェクトを開始(BUSINESS NETWORK)
第三者による取材
- 報道2024-11-12KDDIとアルティウスリンク、「KDDIお客さまセンター」の生成AI活用などの知見を活用した新事業プロジェクトを開始(クラウド Watch)
第三者による取材
- 自社発表2025-03-03Launching "au Support AI Advisor," a Digital Human That Anyone Can Use with Ease(KDDI Newsroom)
プレスリリース・自社ブログ等の公表値。前提条件は要確認