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ChatGPTを営業で使うなら「聞く」をやめる|商談前・商談後・提案・追客で効く5場面とコピペ用プロンプト

佐々木 優希

佐々木 優希

上場企業 営業統括 & AI責任者

9分で読めます

目次
  1. この記事の要点
  2. 「聞かせる」と「読ませる」
  3. 全プロンプトに入れる4行
  4. 場面1:商談前のリサーチ(30分 → 3分)
  5. 場面2:商談後の議事録(20分 → 1分)
  6. 場面3:お礼メールと次アクション(30分 → 1分)
  7. 場面4:提案の骨子(30分 → 5分)
  8. 場面5:失注の振り返り
  9. 個人の工夫で止めない
  10. よくある質問
  11. 参考

ChatGPTに「A社への提案、どう組み立てたらいいですか」と聞いて、返ってきた文章をそのまま閉じたことはないでしょうか。

書いてあることは間違っていません。人手不足です、DXが課題です、営業の生産性向上が求められています。ただ、A社の話になっていない

原因はモデルの性能ではありません。判断を「聞いて」いるからです。ChatGPTが営業で効くのは、こちらが材料を渡して「読ませた」ときだけです。この記事は、その5場面を具体的なプロンプトつきで並べたものです。

この記事の要点

  • ChatGPTへの指示は「聞かせる」と「読ませる」の2種類。営業で成果が出るのは後者だけ。前者は平均的でそれらしい文章を返すので、かえって危ない
  • 効く場面は5つ。①商談前のリサーチ ②商談後の議事録 ③お礼メールと次アクション ④提案の骨子 ⑤失注の振り返り。どれも「材料がある」場面です
  • どのプロンプトにも共通して入れる4行がある。役割/材料/条件(数字で)/分からないことは分からないと書かせる。この4行で出力の質が変わります
  • 人が最後に確かめる場所は固定してください。数字・固有名詞・日付・送信ボタン。ここを渡すと事故になります
  • 個人の工夫で終わらせず、「自分のどの業務で使うか」をチームで共有したときにだけ、組織の数字が動きます

「聞かせる」と「読ませる」

まず、この違いだけ押さえてください。

聞かせる指示:「この業界の課題を教えて」「A社への提案の切り口を考えて」

読ませる指示:「この会社概要ページと直近のプレスリリースを読んで、事業の柱・直近1年の変化・人が足りていない部署を、根拠の一文を添えて書き出して」

前者は、学習済みの一般知識から平均的な答えを取り出す作業です。だから平均的な文章が出ます。しかもそれらしく読めるので、確認されないまま資料に貼られます。

後者は、渡した材料から情報を抜き出して並べ替える作業です。元の資料に書いてあることなので、合っているかどうかを人が確かめられます。

営業でChatGPTを使うときの判断は、これだけです。後から確かめられる作業だけを渡す。

全プロンプトに入れる4行

場面ごとのプロンプトに入る前に、共通の骨格を出します。この4つが揃っていない指示は、だいたい一般論を返してきます。

  1. 役割:「あなたは法人営業の同僚です」「あなたは商談準備のアシスタントです」
  2. 材料:メモ・原文・公開情報をそのまま貼る(要約して渡さない)
  3. 条件を数字で:「5行以内」「3つ」「200字前後」「決まったこと/持ち帰り/次回日程の3つに分ける」
  4. 埋めさせない一文:「材料に書いていないことは足さないでください。分からないところは【要確認】と残してください」

4つ目が特に重要です。これを入れないと、ChatGPTは空白を埋めようとします。埋まった空白は、商談の場で崩れます。

場面1:商談前のリサーチ(30分 → 3分)

当社では、商談準備(企業リサーチ〜提案骨子)が30分から3分になりました。やったことは、公開情報を貼って読ませるだけです。

あなたは商談準備のアシスタントです。
以下の会社情報と問い合わせ背景から、初回商談の準備メモを作ってください。

1. 事業の要約(3行)。事実は貼った情報の範囲で書き、推測は文末に(推測)と付ける。
2. 想定される課題を3つ。それぞれ「なぜそう思うか」を1行添える。
3. 商談の冒頭で聞くべき質問を5つ。答えによって提案が変わる質問を優先。

社名・部署名・数字は貼った情報のまま使い、分からないところは【要確認】と残してください。

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【会社名・所在地・従業員規模】
【会社HPの事業内容やニュースを貼る】
【問い合わせフォームの内容や紹介の背景を貼る】

人が残る場所:社名・事業内容・数字の事実確認。「(推測)」がついた行は、商談で口に出す前に本人に聞きます。

準備が速くなること自体は成果ではありません。成果は、調べれば分かることを商談で聞かなくなることです。

場面2:商談後の議事録(20分 → 1分)

商談直後が、いちばん効く場面です。記憶が新しいうちに、メモを貼るだけで終わります。

以下は商談のメモ(またはオンライン会議の自動文字起こし)です。
先方に送れる議事録に整えてください。

条件:
- 5行以内
- 「決まったこと」「持ち帰り」「次回日程」の3つに分ける
- メモに書いていないことは足さない
- 聞き取れていない箇所は【要確認】と残す

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【メモを貼る】

人が残る場所:合意事項と期日。「言った気がする」を確定情報として送らないことです。

場面3:お礼メールと次アクション(30分 → 1分)

議事録と同じ材料から、続けて出させます。別々に作らないのがコツです。

同じメモから、商談後のフォロー一式を作ってください。

1. ネクストアクション:「誰が/何を/いつまでに」の表。当社側と相手側を分ける。
2. お礼メールの下書き:件名と本文。300字前後、丁寧め。
   合意事項とネクストアクションを1〜2行で入れる。

社名・氏名・数字・日付はメモの表記のまま使ってください。
最後に、送る前に私が確認すべき点を箇条書きで添えてください。

人が残る場所:送信ボタン。ここだけは絶対に自動化しません。

場面4:提案の骨子(30分 → 5分)

ここは注意が必要な場面です。提案の筋は人が決めます。ChatGPTに渡すのは「相手の言葉で並べ直す」作業だけです。

ヒアリング内容から、提案書の構成案を作ってください。

条件:
- 見出しは、先方が実際に使った言葉をそのまま使う
- 章は5つまで。各章に「その章で相手に何を思ってほしいか」を1行添える
- こちらの機能説明から始めない
- ヒアリングに出ていない課題を足さない

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【ヒアリングメモ】

人が残る場所:章の順番と価格の見せ方。決裁者が誰かで並びが変わります。ここは確かめようがないので、渡してはいけない側です。

場面5:失注の振り返り

最後は、多くの営業組織で放置されている場面です。失注理由は個人の記憶に残り、チームには残りません。

以下は、直近の失注案件のメモです。共通点を探してください。

1. 失注のタイミング(初回/提案後/見積後/稟議)で分類する
2. 各分類で、先方が実際に口にした言葉を引用する
3. 3件以上に共通して出ている言葉だけを「共通点」として挙げる
4. 2件以下のものは「共通点とは言えない」と明記する

推測で理由を作らないでください。

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【失注案件のメモを複数貼る】

人が残る場所:出てきた共通点が「本当の敗因」かどうか。案件の記憶を持つ人にしか判定できません。

個人の工夫で止めない

ここまでのプロンプトは、1人でも今日から使えます。問題は、1人が速くなっても組織の数字は動かないことです。

総務省『令和8年版 情報通信白書』では、営業・販売で生成AIを活用している企業が59.6%、効果を実感しているのが37.5%でした。差は−22.1ポイント。使っている人はいるのに、組織としては効いていない状態が、統計にそのまま出ています。

この差を埋めるのは、追加の研修ではありません。誰がどの業務に使っているかが、チームで見える状態です。「先輩が商談メモを貼るだけで議事録を作っている」と分かった瞬間、若手は自分で真似します。マニュアルより速いです。

当社が運営する営業マーケAIスクールでは、1本5分の動画を見終わるたびに「自分のどの仕事に使うか」を1つ選ぶようにしています。測っているのは視聴率ではなく、その件数です。部署としては「どの業務に票が集まったか」が一覧になり、上位3業務がそのまま次の投資先になります。全18章90レッスンと職種別のプロンプト集480件は、個人なら無料・アカウント登録なしで全部開けます(会社として人数ぶん配り進捗を見る法人プランは有料で、御社専用の環境がつきます)。

よくある質問

Q. ChatGPTとGemini、Claudeのどれを使うべきですか?

いま社内で使えているもので構いません。この記事のプロンプトは、どれでもそのまま動きます。選定から始めると、選定だけで1〜2か月かかって熱が冷めます。使い分けが必要になるのは、社内資料をまとめて読ませたい(長い文脈)、表計算と往復したい、といった具体的な要求が出てからです。

Q. 社外秘の情報を貼っても大丈夫ですか?

会社の方針に従ってください。そのうえで、実務的な線引きとしては「顧客名・担当者名・未公開の数字が入る資料は、社外に出ない設定の環境でだけ扱う」が最小ラインです。判断に迷うなら、固有名詞を【A社】に置き換えてから貼れば、ほとんどの用途は足ります。

Q. 出力が毎回ぶれます

条件を数字で書いていない可能性が高いです。「簡潔に」ではなく「5行以内」、「いくつか」ではなく「3つ」。それでもぶれる場合は、良かった出力をそのままプロンプトに貼って「この形式で」と指定してください。例が1つあるだけで安定します。

Q. 一度にたくさん直そうとすると、かえって悪くなります

1回の修正で足す条件は1つにしてください。まとめて直すと、何が効いたか分からなくなります。効いた条件はメモに残して、次回はそこから始めます。この積み上げが、そのまま自分用のプロンプト集になります。

Q. 部下に使わせたいのですが、続きません

週に1回、「今週どの業務に使った?」と聞くだけで変わります。評価に結びつける必要はありません。研修効果の整理でも、職場での実践に到達するかどうかは上司の関与で差がつくとされています。逆に、配って任せるだけの状態が一番続きません。

Q. まず何から始めればいいですか?

明日ある商談の準備か、今日あった商談の議事録です。どちらも材料が手元にあり、出力が合っているかをその場で確認でき、間違えても社外に出ません。この3条件を満たす業務から始めると、失敗しません。

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参考

  • 総務省『令和8年版 情報通信白書』(生成AIの業務別の活用状況と効果実感):総務省
  • 職種別のプロンプトは営業マーケAIスクールの棚で公開しています(16職種×30業務の480件すべて、個人は登録不要・無料)

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執筆・監修:佐々木 優希(上場企業 営業統括 兼 AI責任者)

某有名SFA・CRM企業でエンタープライズ営業マネージャーとして大手企業への導入を推進。スタートアップではトップセールスとして営業数名から200名規模へのスケールを牽引し、現在は上場企業で営業統括とAI責任者を兼任。売る側・導入する側・AIを入れる側の3つの立場から、営業・マーケティングのAI実装を支援しています。

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