Claude Codeで暦サイトを2日で作った|非エンジニアが781ページを公開するまでの実録【制作実演】
目次
「AIを使えば、こういうサイトが数日で作れるらしい」
営業やマーケティングの責任者から、この手の話を聞く機会が増えました。ただ、実際に何がどこまで、どの順番でできて、どこで止まるのかを、最初から最後まで見せてもらえることはあまりありません。
そこで、自分でやってみました。営業出身でエンジニアではない私が、Claude Codeと組んで、占いと暦のサイト「五段の暦(ごだんのこよみ)」を2日で公開するまでの記録です。781ページの静的サイトで、暦の計算・毎朝の自動更新・検索とAI検索向けの作り込みまで含みます。
この記事は「便利な作り方」の紹介ではありません。速く作れる時代に、人の側に何が残るかを、営業組織にAIを入れるときと同じ目線で整理したものです。
この記事の要点
- 2日で公開できたのは、作るものを「毎朝2分で収まる3つ」に絞ったからで、Claude Codeが速いからではない
- 暦の計算は、公開されている暦データと2025〜2027年の1,095日ぶんを照合し、全日一致するまで公開しなかった。AIの出力は「照合の仕組み」とセットで初めて使える
- 途中で起きた失敗は4つ。配色・六曜の1日ずれ・日付入力・動画の分類。どれもAIは「正しく」動いており、ずれを見つけたのは人の目だった
- 「2日で作れるなら支援は要らないのでは」への答え:作るのは速い。何を作るか、何が変かを見る、会社の業務に接ぐの3つは人の仕事のまま残る
- 営業組織のAI導入も構造は同じ。1本目を小さく作り、検品の仕組みを先に置く。速さは後からついてくる
なぜ営業の会社が暦サイトを作ったのか
きっかけは、マネジメントの悩みでした。
営業組織を見てきて、「大きな目標から逆算して毎日の習慣を積み上げる」型で動ける人は、思ったより少ない。動くのは「今日楽しくやれたか」「目の前のお客様に感謝されたか」の実感のほうでした。だから逆算ではなく、朝の小さなきっかけから習慣を1つ変える道具があってもいい。そう考えて作ったのが五段の暦です。
サイト自体は、営業やマーケティングとは直接関係ありません。ただ、当社は営業・マーケティング組織へのAI導入支援とClaude Code導入支援を提供しており、「AIと組むと、非エンジニアがどこまで作れるか」を自分の手で確かめた実物として、このサイトを制作実演の1つに位置づけています。
2日で何を、どの順に作ったか

順番が結果を決めました。先に「見た目」から作ると、後で計算が変わるたびに画面を直すことになります。
| 日 | 作ったもの | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 1日目 午前 | 暦エンジン(六曜・九星・干支・二十四節気・天赦日・一粒万倍日) | 公開データと照合できる形で作る。照合できないものは作らない |
| 1日目 午後 | 生年月日から出る「宿命の1枚」・おみくじ・今日の一手 | 出力は「傾き」まで。「必ず」「当たる」は使わないルールを先に決める |
| 1日目 夜 | 画面の骨組み(今日/暦/羅針盤/動画) | 毎朝2分で収まる範囲に絞る。機能を足す相談はすべて翌日以降へ |
| 2日目 午前 | 日ごと・月ごと・用語ごとの静的ページ781枚 | AI検索のクローラーはJavaScriptを実行しないので、静的HTMLで出す |
| 2日目 午後 | 検索・AI検索向けの整備(固有のタイトルと説明・構造化データ・サイトマップ) | 1ページずつ手で書かず、生成の規則を1つ決めて全ページに当てる |
| 2日目 夜 | 独自サブドメインへ公開・毎朝3時30分の自動更新 | 公開後に壊れたら止まる仕組み(日次の検品)を同時に置く |
「2日」という数字だけを見ると速いのですが、作るものを削る判断に、時間の半分を使っています。当初は課金機能や相性診断まで案に上がりましたが、すべて後回しにしました。
暦の計算を「信じない」で公開した
AIが書いた計算を、そのまま公開はしませんでした。
暦の計算は、公開されている暦データと2025〜2027年の1,095日ぶんを機械で突き合わせ、六曜・日の干支・旧暦・一粒万倍日・天赦日が全日一致することを確認してから公開しています。二十四節気の節入りは1,093日一致・2日不一致で、不一致の2日は国立天文台の暦要項と同じ日付を採用しました。月の星座を求める簡易式は、天文計算ライブラリと最大0.05度差に収まることを確かめています。

これは営業組織のAI導入でも同じです。AIが作った商談メモや提案書の下書きを「速い」だけで使うと、間違いも速く広がります。出力を照合する相手(元データ・過去の実績・人の判断)を先に決める。当社が営業向けの支援で最初に置くのも、この照合の仕組みです。詳しくはClaude Codeは危険か|実際に起きた4つの事故と、機械で止める設計にまとめています。
途中で起きた4つの失敗と、直し方
きれいに2日で終わったわけではありません。AIは「指示どおり」に動いていて、ずれを見つけたのは人の目でした。

| 失敗 | 起きたこと | どう直したか |
|---|---|---|
| 配色 | 最初は夜空を模した暗い画面で作った。見せた相手の第一声が「ダサい」 | 白基調・見やすさ優先へ作り直し。好みではなく「毎朝2分で読める」を基準にした |
| 六曜の1日ずれ | 月によって六曜が1日ずれていた。使ったライブラリが中国標準時で新月を判定していた | 日本時間の新月を1日目として数え直す処理を足し、1,095日の照合で確認 |
| 生年月日の入力 | ブラウザ標準の日付入力で、月を選んだ時点で確定し、日を選べない。初回のテスターが発見 | 年・月・日を別々に選ぶ形へ変更。相手の生年月日欄も同じにした |
| 動画の分類 | 「陰徳(人知れず積む善行)」の棚に瞑想の動画が並んだ。旧分類を流し込んだ名残 | 分類の基準を文章で定義し直し、外れる動画は別の棚へ。月1回の見直しを仕組みにした |
4つに共通するのは、AIの側に間違いはなかったことです。指示が足りなかったか、前提(時刻の基準・ブラウザの挙動・分類の定義)を人が渡していなかった。営業の現場で「AIが変な提案書を出した」と聞いて中身を見ると、たいてい同じ構造をしています。
「2日で作れるなら、支援は要らないのでは」
この記事を読んだ方が最初に思う反論はこれだと思います。私も、その通りだと思う部分があります。
作る作業そのものは、確かに支援がなくても進みます。 Claude Codeは、非エンジニアの指示でもここまで作れます。当社の支援の中身も「作ってあげる」ではありません。
一方で、2日間で私が時間を使ったのは、次の3つでした。
- 何を作るか(何を作らないか)を決める:課金・相性診断・出生地入力を後回しにした判断。ここを誤ると、速く作れるぶん速く膨らむ
- 何が変かを見る:六曜のずれも、日を選べない入力欄も、動作としては「正常」だった。ずれに気づくのは、使う人の目
- 会社の業務に接ぐ:個人サイトなら不要でも、会社なら権限・顧客データ・既存システム・検品の責任者が絡む。ここが営業組織で最も止まりやすい
当社ができないこともあります。このサイトは自分1人の判断で削れたので2日で済みましたが、顧客の営業組織では「削る判断」に関係者の合意が要り、同じ速さは出ません。初回の支援で「まず1本目を2日で」と約束しないのはそのためです。1本目は小さく、検品の仕組みを先に置く。Claude Codeで自分専用ツールを内製するに、作る仕事の選び方を書いています。
営業組織のAI導入に持ち帰れること
このサイトから営業組織に持ち帰れるのは、次の3点です。
- 1本目は「毎朝2分」の大きさで:営業なら「商談前の会社リサーチを3行にまとめる」「失注後の追いかけの下書き」のような、毎日発生して出来上がりを自分で判定できる業務から
- 照合の相手を先に決める:AIの出力を何と突き合わせるか(過去の商談メモ・SFAの実績・上司の判断)。照合できない業務は、後回しにする
- 落ちたら止まる仕組みを同時に置く:五段の暦は毎朝の自動更新が失敗したら前日の状態を残して止まります。営業の自動化も「毎朝のレポートが静かに止まっていた」を防ぐ検品が要ります
速く作れることは、もう疑う余地がありません。差がつくのは、何を作るかを決め、ずれを見つけ、会社の業務に接ぐ側です。
よくある質問
Q. 本当にエンジニアの手を借りずに作れましたか?
コードは1行も手で書いていません。ただし「判断」は全部こちらです。何を作るか、どの順で作るか、照合の相手を何にするか、出力のどこが変か。エンジニアの知識の代わりに要ったのは、業務の理解と、ずれに気づく目でした。
Q. 2日というのは、実働でどれくらいですか?
2026年9月25日と26日の2日間で、合間に通常の業務も挟んでいます。作業の半分は「作らないものを決める」時間でした。機能を足すたびに検証が増えるので、削る判断が速さを作っています。
Q. 占いの内容は誰が書いているのですか?
人の鑑定ではありません。暦(六曜・九星・干支・二十四節気)と天体の計算から、機械で「今日の傾き」を組み立てています。運営者は占い師ではないことと、「必ず」「当たる」などの断定を使わないことを、サイトの説明ページに明記しています。
Q. 営業の業務でも、同じ速さで作れますか?
作る速さは同じです。違うのは「削る判断」に関係者の合意が要る点と、顧客データや既存システムへの接続に権限と検品の責任者が要る点です。当社の支援では、1本目を小さく決めて検品の仕組みを先に置くところから始めます。
Q. 作ったものは、その後も直し続ける必要がありますか?
あります。公開後も、初回のテスターの指摘で入力欄を作り直し、動画の分類基準を定義し直しました。作ることより「直し続ける体制」のほうが、長く効きます。
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執筆・監修:佐々木 優希(上場企業 営業統括 兼 AI責任者)
スタートアップでトップセールスとして営業組織の立ち上げに携わり、SFA・CRMのエンタープライズ営業マネージャーを経て、上場企業で営業統括とAI責任者を兼任。営業・マーケティング組織へのAI実装を現場側から手がけ、現在は中小企業向けにAI導入支援を提供しています。