AIエージェントがブラジルの顧客対応60%超を担当、満足度は人と同等以上|Nubankの事例
公開 2026-09-09 / 約10分
AIエージェントが対応したブラジルの顧客サポート会話の割合(応対評価は人による対応と同等以上)|2026年8月13日のQ2決算説明会でCEOが発言
60%超
出典:決算・年次報告(2026-08-13時点)
- 地域
- 🇧🇷 ブラジル(海外)
- 業種
- 金融(デジタルバンク・フィンテック)
- AI化した領域
- カスタマーサポートのAIエージェント化/与信・信用スコアリングのAI基盤/パーソナライズ資産形成AIの展開/マーケティング施策のAI最適化
- 出典の種別
- 決算・年次報告/報道
世界の最先端では、銀行の顧客対応はすでに「AIが主役、人が例外対応」の段階に入っています。ブラジル発のデジタルバンクNubank(Nu Holdings、NYSE上場)は、ブラジルの顧客サポート会話の60%超をAIエージェントが対応し、顧客からの評価は人による対応と同等以上に達したと、2026年8月13日のQ2決算説明会でCEOのDavid Vélez氏が公表しました。
与信判断を支える独自の金融基盤モデル「NuFormer」は、まずブラジルの主力クレジット事業に導入され、2025年を通じてメキシコへ横展開されました。最新世代は本番でモデルを動かすコストを下げながら、コンテキスト長・学習速度・推論速度を4倍にしたとCEOは説明しています。1億3,900万人という顧客規模を抱える同社が、なぜここまでAIに任せられているのかを、出典と時点つきで整理します。
この事例の要点
- ブラジルの顧客サポート会話の60%超をAIエージェントが対応、顧客評価は人による対応と同等以上(2026年8月13日、Q2決算説明会でCEO発言)
- 独自の金融基盤モデル「NuFormer」(自社開発の金融行動の予測モデル)を、まずブラジルの主力クレジット事業に導入。2025年を通じてメキシコへ横展開し、市場をまたいで通用することを確認したとCEOが説明
- 2026年上期にはブラジルの無担保ローンと次世代の中核与信モデルへ拡張。コロンビアの個人顧客と中小企業向けクレジットカードでは現在試験運用中
- NuFormerの最新世代はコンテキスト長・学習速度・推論速度を4倍にしながら、本番運用のコストを削減したとCEOが説明(比較対象は同モデルの前世代)
- 与信・預金・成長領域の意思決定について、「結果を予測する」から「現実の制約下で価値を最大化する行動を決める」段階へ移行中(CEO発言)。NuFormerを使って配信先を選んだキャンペーンはすでに100件超
- 資産形成をパーソナライズする「AI Private Banker」は、数ヶ月の試験運用を経て個別機能が月間利用者1,500万人超に到達。統合版は近く提供予定(2026年6月のNu Videocastでの発言を報道が伝える)
- 会社全体の顧客数は1億3,900万人(ブラジル約1億1,800万人・コロンビア500万人超、メキシコは7月末に1,600万人到達|2026年8月13日発表のQ2決算時点)
どんな会社か
Nubank(Nu Holdings Ltd.)は、2013年にブラジルで創業したデジタルバンクです。クレジットカードやローンなどをすべてアプリ完結で提供し、現在はブラジル・メキシコ・コロンビアの3か国で合計1億3,900万人の顧客を抱えるラテンアメリカ最大級のデジタルバンクに成長しました。米ニューヨーク証券取引所(NYSE、ティッカー:NU)に上場しています。
この事例が参考になるのは、与信という「間違えられない判断業務」と、顧客サポートという「対応品質が信頼に直結する業務」の両方でAIを主役に据えている点です。金融業に限らず、判断業務と顧客接点の両輪でAI活用を進めたい会社にとって具体的な到達点になります。
何をAI化したのか
決算説明会でCEOは、NuFormerを「業務ごとに別々のモデルを作るのではなく、1つの基盤モデルの上に各業務を載せる」設計だと説明しています。中核となるモデルを改善すれば、その上に載る与信・サポート・マーケティングのすべてが同時に良くなる、という考え方です。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 金融基盤モデル「NuFormer」 | 自社開発の金融行動の予測モデル。まずブラジルの主力クレジット事業に導入し、2025年を通じてメキシコへ横展開。2026年上期にブラジルの無担保ローンと次世代の中核与信モデルへ拡張し、コロンビアの個人顧客・中小企業向けクレジットカードで試験運用中 |
| 顧客サポートのAIエージェント | ブラジルの顧客サポート会話の60%超に対応。顧客評価は人による対応と同等以上(2026年8月13日時点) |
| AI Private Banker | 資産形成をパーソナライズする機能群。数ヶ月の試験運用を経て個別機能が月間利用者1,500万人超に到達、統合版は近く提供予定(2026年6月時点) |
| マーケティング施策のAI最適化 | NuFormerが学習した顧客像をもとに配信先を選んだキャンペーンを100件超実施。与信・預金・成長領域の意思決定を「結果予測」から「価値最大化の行動決定」へ移行中 |
なぜここまでAIに任せられているのか

「まず自社データで鍛えたモデルを、新しい市場へ持ち出す」という順序が特徴的です。NuFormerはブラジルの主力クレジット事業で実績を積んでからメキシコへ横展開されており、いきなり複数国へ同時展開するのではなく、実績がある市場で磨いてから広げるという段階的な拡張を取っています。CEOはこの横展開を「プラットフォームが市場をまたいで通用することを示した」と表現しています。
もう1つの特徴は、「人に近い評価」を成果指標にしていることです。AIエージェントの対応品質を「解決率」ではなく「顧客評価が人による対応と同等以上か」で語っており、対応件数の効率化だけでなく品質の担保を成果として示している点が、顧客接点にAIを持ち込む際の説明のしかたとして参考になります。
中小企業が真似できる3点
① 実績が出た市場・部門から広げる
Nubankは与信AIをまずブラジルで鍛えてからメキシコへ広げています。複数拠点・複数部門に一度に広げず、いちばん実績が出やすい場所から始めて他へ展開する順序は、規模を問わず応用できます。
② AIの成果指標を「品質」でも測る
対応件数や時間だけでなく、「人による対応と比べてどうか」という品質指標を置いています。効率化の数字だけを追うと現場の抵抗が大きくなりがちですが、品質を落とさない前提を示すことで導入への理解を得やすくなります。
③ 「予測」で終わらせず「行動」につなげる
AIの使い方を、「結果を予測する」段階から「現実の制約のなかで価値を最大化する行動を決める」段階へ移そうとしています。分析ツールとして使うだけでなく、意思決定そのものにAIを組み込むという発想は、営業・マーケ領域でも取り入れられます。
こうした「実績のある部門から広げる」「品質指標を置く」という設計は、社内にAI活用の旗振り役がいない会社ほど、外部の力を借りたほうが早く回ります。私たちAIリモートワーカーのようなサービスも、その選択肢の1つとして検討する余地があります。
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- 「60%超」はブラジルの顧客サポート会話に限った数字です。メキシコ・コロンビアや、会社全体の対応件数についての数字ではありません
- 「顧客評価は人による対応と同等以上」はCEOの発言であり、算出方法(評価の母数・満足度スコアの定義)は決算説明会の場では開示されていません。第三者機関による検証も確認できていません
- NuFormerの「4倍」は、同モデルの前世代との比較であり、他社の与信モデルとの比較ではありません。また速度・コストの改善であって、与信精度が4倍になったという意味ではありません
- 「AI Private Banker」は機能群の総称で、統合された1つのサービスとしては本記事の時点でまだ提供されていません(決算説明会でもCEOは「AI private bankerというビジョンに向かっている」と将来形で述べています)。「月間利用者1,500万人超」は先行提供中の個別機能の利用者数です
- 「AI Private Banker」の数字は決算説明会ではなく、2026年6月のNu Videocast(自社配信の番組)での同社CTOとAI Core責任者の発言を報道が伝えたものです。決算資料など監査済みの開示ではない点に注意してください
- 顧客数「1億3,900万人」などは会社全体の顧客基盤の数字で、AI活用の効果を示す数字ではありません(比較のための会社規模の参考値です)
- キャンペーン施策の「100件超」は実施件数であり、効果(成約率や収益への寄与)は決算説明会では数値化されていません
よくある質問
Q. 「AIエージェントの対応が人と同等以上」というのは、どうやって確認された数字ですか?
2026年8月13日の決算説明会でCEOが発言した内容で、決算資料そのものに詳細な算出根拠は記載されていません。評価方法の内訳(満足度調査の設問や母数)は非開示のため、この数字は「経営陣がそう説明している」という位置づけで読むのが妥当です。
Q. NuFormerはどの業務に使われていますか?
主に与信判断(クレジットカードやローンの審査)に使われています。まずブラジルの主力クレジット事業に導入され、2025年を通じてメキシコへ横展開。2026年上期にはブラジルの無担保ローンと次世代の中核与信モデルへ広がり、コロンビアの個人顧客・中小企業向けクレジットカードでは試験運用が進んでいます。顧客サポートやマーケティングの配信先選定にも同じ基盤が使われています。
Q. 中小企業が最初に真似すべきことは何ですか?
「いちばん実績が出やすい範囲から始めて、他へ広げる」順序です。Nubankは与信AIをブラジルの主力事業で鍛えてからメキシコへ広げました。複数の部門・拠点に同時展開するのではなく、成果が見える一箇所に絞って磨き、そのやり方ごと横展開するほうが再現性を得やすくなります。
Q. 海外の金融大手だからできたことでは?
顧客対応の品質を「効率化」ではなく「人と同等以上か」で語っている点は、業種や規模を問わず応用できる考え方です。AIに任せる範囲を広げるときほど、対応件数ではなく品質の指標を併記することが、社内外の信頼を保つポイントになります。
Q. この数字はいつ時点のものですか?
顧客対応・NuFormer・キャンペーン施策の数字は2026年8月13日のQ2決算説明会時点、AI Private Bankerの数字は2026年6月12日に報じられたNu Videocastでの発言時点です。今後の決算でどう推移するかは本記事の時点では分かりません。
出典
出典と、その読み方
- 決算・年次報告2026-08-13Nu Holdings Ltd. 2026年第2四半期決算説明会(The Motley Foolによる書き起こし・原決算説明会は2026年8月13日)
決算・IRの開示資料(監査済みの数値とは限らない)
- 報道2026-06-12Crowdfund Insider(Nu Videocastでの同社CTO・AI Core責任者の発言を報道)
第三者による取材
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