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AIの利益貢献が年換算で約1億ユーロ。主要16用途の約60%が稼働|ジェネラリ(Generali)の事例

公開 2026-09-07 / 約8

AI・生成AIで実現した利益への影響(年換算ベース・2025年度決算資料)

約1億ユーロ

出典:決算・年次報告2026-03-12時点)

地域
🇮🇹 イタリア(海外)
業種
保険
AI化した領域
保険金請求の自動化/引受・料率設定/問い合わせ対応/営業担当の支援/全社研修
出典の種別
決算・年次報告/自社発表

海外の最先端では、AIの成果が決算資料の数字になっています。ヨーロッパ大手の保険グループは、AI・生成AIによる利益への影響を約1億ユーロ(年換算ベース)と決算説明資料に記載し、2027年には3.5億ユーロ超を目標に置きました。グループ共通基盤では75件超のAIアプリが動き、呼び出しは月2,000万回超27の事業単位が使っています。

「AIで利益がいくら変わったのか」を投資家向けの資料に書ける会社が、すでにあるということです。

この事例の要点

  • 2025年度の決算資料に、AI・生成AIで実現した利益への影響を約1億ユーロ(年換算ベース)と記載
  • 2027年には3.5億ユーロ超を目標として掲げた
  • 金額を出せている構造は明確で、16の主要用途に絞って全社に展開している。うち約60%が稼働中(2027年に90%超を計画)
  • グループの共通基盤で75件超のAIアプリが稼働し、月2,000万回超の呼び出し。27の事業単位が利用
  • 15,000人超の社員が生成AIの研修を受講
  • 保険金請求では、長期のランレートで効率・生産性が40%超向上、処理時間80%減、支払額3%減(ただしこれは見込み
  • 今後の重点として営業担当(代理人)の支援を明記。見込み客の意向の事前把握、ニーズ分析の高速化、補償と免責の説明を挙げている

どんな会社か

イタリアに本社を置くヨーロッパ大手の保険グループです。決算資料によれば、グループ内の27の事業単位がAIの共通基盤を使い、生成AIの研修を受けた社員だけで15,000人超。日本の中小企業とは規模が比較になりません。ただしこの事例で見るべきは金額の大きさではなく、金額を言える状態をどう作ったかです。

何をAI化したのか

16の主要用途が、保険の業務の流れに沿って公開されています。

工程AIがやっていること
料率設定機械学習による価格弾力性の分析、市場価格の把握、気象リスクのモデル化
引受書類からのデータ抽出、リスク採点、証券の下書き、建物の特徴から保険価額を推定
保険金請求事故報告書・修理見積からのデータ抽出、損害の画像判定、最も費用対効果の高い修理工場への振り分け、不正検知
問い合わせ対応メール・書式・非構造の書類をAIが抽出・分類・振り分け。受電の処理も対話型の生成AIエージェントで一気通貫に自動化

問い合わせ対応という顧客接点が、料率設定や請求処理と同じ枠のなかに入っている点に注目してください。さらに同じ資料の「今後」の章では、営業担当(代理人)の生産性向上(見込み客の意向の事前把握・ニーズ分析の高速化・補償と免責の説明)が次の重点として明記されています。バックオフィスだけの話にしていません。

なぜ金額で言えるところまで来られたのか

ジェネラリの決算資料に載っている数字。AIによる利益影響は年換算で約1億ユーロ、2027年の目標は3.5億ユーロ超、主要用途16個のうち約60%が稼働中
ジェネラリの決算資料に載っている数字。AIによる利益影響は年換算で約1億ユーロ、2027年の目標は3.5億ユーロ超、主要用途16個のうち約60%が稼働中

同社の構造はシンプルです。用途を16個に特定し、それぞれを全社で同じ基盤に載せ、稼働率(約60%)で進捗を見る。この形にすれば、1つあたりの効果を積み上げて金額にできます。だから決算資料に約1億ユーロと書けます。

逆に「AIを全社に配って、各部署で工夫してもらう」進め方だと、効果は分散して測れません。金額が出ないのは効果がないからではなく、足し上げられる単位になっていないからです。

ここは規模に関係なく真似できます。5人の会社でも、対象業務を3つに絞って、それぞれの削減時間を出せば金額になります。

中小企業が真似できる3点

同じ方向に踏み出すための、最初の3歩です。

① 用途を数える

「AIを使っています」ではなく「いま何個の業務で使っているか」を数えます。同社は16個です。数えられる状態なら、増えたか減ったかも分かります。

② 稼働率で進捗を見る

同社は「16個のうち約60%が稼働中、2027年に90%超」と言っています。計画に対して何割動いているかという見方です。「導入した/していない」の二択より、途中の状態が見えます。

③ 金額に換算する式を先に決める

削減時間×時間単価、で構いません。式を先に決めておけば、後から「効果はいくらだったのか」に答えられます。始めてから式を考えると、都合のいい数字を選んでしまいます。

こうした「測れる単位に業務を割って、AIを実装する」工程は、その業務を分かっている人が設計しないと形になりません。営業・マーケの領域で社内に担い手がいない場合は外部に任せる選択肢もあり、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもその1つとして検討する余地があります。

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注意して読むべき点

  • 約1億ユーロは年換算ベース(run rate)の利益影響です。2025年度の会計上の利益として計上された金額ではありません
  • 約1億ユーロはボトムライン(最終利益)ベース、3.5億ユーロ超は営業利益(operating result)ベースの目標です。指標が異なるので、単純に「3.5倍にする計画」とは読めません
  • 内訳は開示されていません。16の用途のうちどれがいくら貢献したかは分かりません
  • 保険金請求の「効率40%超・処理時間80%減・支払額3%減」は、資料上長期のランレートにおけるポテンシャルと明記されています。実績ではありません
  • 3.5億ユーロ超は2027年の目標です
  • 15,000人超は研修の受講者数で、使えるようになった人数ではありません
  • 保険という、書類とルールが業務の中心にある業種です。同じ効率が出る前提で読むことはできません

よくある質問

Q. ジェネラリのAI効果「約1億ユーロ」はどこまで信用できますか?

同社の2025年度決算説明資料(2026年3月12日)に記載された自社発表の数字です。第三者の検証を経たものではありません。読むときに押さえておきたいのは3点で、年換算(run rate)ベースであること、内訳が開示されていないこと、そして投資家向け資料に載せた以上は同社が説明責任を負う数字であることです。ベンダーの導入事例とは性質が違いますが、監査済みの会計数値とも違います。

Q. 中小企業がこの事例から最初に真似すべきことは何ですか?

「いまAIを何個の業務で使っているか」を数えることです。同社は16個に特定し、そのうち約60%が稼働中という言い方をしています。数えられる単位に割ってあるから、進捗も効果も足し上げられます。5人の会社でも、対象業務を3つに絞って、それぞれの削減時間を出せば金額に換算できます。順序として、ツールを配るより先に用途を数えるほうが後で効きます。

Q. 保険金請求の「処理時間80%減」は自社でも期待できますか?

そのままは期待できません。この数字は資料上、長期のランレートにおけるポテンシャルと明記されていて、達成済みの実績ではありません。加えて保険金請求は、書類とルールが業務の中心にある工程です。事故報告書や修理見積のように様式が決まった書類からデータを抽出する作業が多いほどAIは効きます。自社の業務がどれだけその形に近いかで結果は変わります。

Q. AIの効果を金額で言えるようにするには、何から始めればいいですか?

換算式を先に決めることです。削減時間×時間単価、で構いません。同社が金額を出せているのは、用途を16個に特定し、同じ基盤に載せ、稼働率で進捗を見る形にしたからです。効果が測れないのは効果がないからではなく、足し上げられる単位になっていないからというケースがあります。始めてから式を考えると、都合のいい数字を選んでしまいます。

Q. AI導入はバックオフィスからやるべきですか?

同社は分けていません。16の主要用途には、料率設定や引受と同じ枠のなかに問い合わせ対応(メール・書式・非構造書類の抽出と振り分け、受電の自動化)が入っています。さらに資料の「今後」の章では、営業担当(代理人)の生産性向上——見込み客の意向の事前把握、ニーズ分析の高速化、補償と免責の説明——を次の重点として挙げています。顧客接点や営業を後回しにする前提には立っていません。

出典

出典と、その読み方

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