AIリモートワーカー

社内AIチャット利用率80%超、導入2ヶ月で社内GPT750個|モデルナ(Moderna)の事例

公開 2026-09-08 / 約9

社内AIチャットmChatを利用した社員の割合(2023年初に立ち上げ/測定時点の記載なし・OpenAI公式カスタマーストーリー)

80%超

出典:ベンダー事例2026-07-27時点)

地域
🇺🇸 アメリカ(海外)
業種
製薬・バイオ(mRNA医薬品)
AI化した領域
社内AIチャットの全社導入/生成AIの自作ツール(GPT)化/法務・ブランド広報の業務効率化/利用率・定着の仕組み
出典の種別
ベンダー事例

世界の最先端では、社内のAI活用は「使える人が使う」段階をとうに超えています。米国の製薬大手モデルナは、2023年初に自社開発の社内AIチャット「mChat」を立ち上げ、社員の80%超が使う状態まで広げました。その後導入したChatGPT Enterpriseでは、わずか2ヶ月で社内のGPTが750個、1人あたりの利用は週平均120回の会話に達したとOpenAIが公表しています。

法務チームの利用率は100%。CEOは「昔ながらのやり方なら10万人必要だったかもしれない仕事を、数千人でやれる」と述べています。mRNAワクチンで知られる同社が、なぜここまで浸透させられたのかを、出典と時点つきで整理します。

この事例の要点

  • 社内AIチャット「mChat」(自社開発・OpenAIのAPIを利用)は2023年初に立ち上げ社員の80%超が利用(※原文に測定時点の記載はない)
  • 目標は「6ヶ月以内に、デジタルツールにアクセスできる全社員が生成AIを100%活用・習熟すること」。これは達成値ではなく、掲げた目標として明記されている
  • ChatGPT Enterprise導入から2ヶ月で、社内のGPTが750個に到達
  • 週次アクティブユーザーの40%がGPTを作成、1人あたりの利用は週平均120回の会話
  • 法務チームの利用率は100%(最高法務責任者の発言)
  • 社内のAIフォーラムには週2,000人が能動的に参加
  • CEOステファン・バンセル氏は「昔ながらの製薬のやり方なら今日10万人必要だったかもしれない。数千人で、技術とAIを使って会社をスケールさせられると本気で考えている」と発言
  • 臨床開発チームは、投与量の妥当性を検証するGPT「Dose ID」を試験運用(pilot)中(人が判断を主導し、AIは根拠の提示とデータ可視化を担う位置づけ)

どんな会社か

モデルナは、mRNA技術を使った医薬品開発を手がける米国の製薬会社です。COVID-19ワクチンで広く知られていますが、現在は今後5年間で最大15の新製品(RSVワクチンから個別化されたがん治療まで)を市場に出す計画を掲げています。OpenAIとは2023年初から提携しています。

この事例が参考になるのは、規制が厳しく、判断のミスが許されない業界(医薬品の臨床開発・法務)でも、全社規模でAI活用を進めている点です。「うちの業界は特殊だから」という理由づけが効きにくい事例だと言えます。

何が課題だったのか

同社は、AI活用を一部の得意な社員に任せる形では広がらないという前提に立っていました。担当者の言葉を借りれば「集合知」の考え方で、「全員が参加し、誰も置き去りにしない」ことを目標に掲げています。

そのために、個人・集団・組織構造の3つの層で同時に変革施策を進めました。個人向けには研修や「AIでAIを教える」学習プログラム、集団向けにはプロンプトコンテストで選ばれた上位100人を「生成AIチャンピオン」として組織化、組織向けにはCEOと経営委員会メンバー自らが会議やタウンホールでAI文化を推進する、という設計です。

何をAI化したのか

施策内容
社内AIチャット「mChat」OpenAIのAPIを使った自社開発ツール。2023年初に立ち上げ、社員の80%超が利用
ChatGPT EnterprisemChat・Copilotと並べて社内でユーザーテストを実施したうえで導入。推奨度(ネットプロモータースコア)が突出して高かったため本命に
社内のGPT(750個)社員が業務ごとにGPTを作成できる状態に。導入2ヶ月で社内に750個
法務のGPT「Contract Companion」(契約書の分かりやすい要約)、「Policy Bot」(社内規定への質問対応)。法務チームは利用率100%
臨床開発のGPT「Dose ID」投与量選定の根拠を提示し、データを可視化する試験運用中のツール。レビューは人が主導する
ブランド広報のGPT四半期決算説明会用のスライド作成支援、バイオ専門用語を投資家向けに分かりやすく変換する用途

なぜここまで浸透させられたのか

モデルナの公表値。社内AIチャットmChatは社員の80%超が利用、ChatGPT Enterprise導入2ヶ月で社内GPTが750個、週次アクティブユーザーの40%がGPTを作成、1人あたり週120回の会話
モデルナの公表値。社内AIチャットmChatは社員の80%超が利用、ChatGPT Enterprise導入2ヶ月で社内GPTが750個、週次アクティブユーザーの40%がGPTを作成、1人あたり週120回の会話

「入れて終わり」にしなかったことが、他社との差だと考えられます。同社はAI活用を一度きりの導入プロジェクトではなく、専任の専門家チームを置いた変革プログラムとして設計しました。

とくに「集団を巻き込む」設計が独自です。プロンプトコンテストで上位100人のパワーユーザーを選び、社内の推進役に任命しています。トップダウンの研修だけでなく、現場から自然に広まる仕組みを先に作った、という順序です。

もう1つの特徴は、ツールを比較してから決めたことです。自社開発のmChatをそのまま拡張するのではなく、Copilot・ChatGPT Enterpriseと並べてユーザーテストを行い、推奨度がいちばん高かったものに投資を寄せています。「作ったツールに固執しない」姿勢が、結果的に短期間での定着につながったと読めます。

中小企業が真似できる3点

① 「目標」を先に数字で決める

同社は「6ヶ月で全社員が100%活用・習熟」という目標を先に掲げ、そこから施策を逆算しています。目標が先、施策は後という順番です。多くの会社は逆(ツールをまず入れて、目標は後付け)になりがちです。

② 現場から広める「推進役」を作る

情報システム部門からの一斉通達だけでは定着しません。社内の実践者を推進役に任命し、部署・拠点ごとの相談窓口(オフィスアワー)を用意する仕組みは、企業規模を問わず真似できます。

③ 「今のツールに固執しない」を仕組みにする

同社は複数のツールを比較検証してから本命を決めています。最初に選んだツールが最後まで正解とは限らないという前提を持っておくことが、途中で切り替える際の抵抗を減らします。

こうした「目標設計→推進役の任命→ツールの見直し」という一連の設計は、社内にAI活用の旗振り役がいない会社ほど、外部の力を借りたほうが早く回ります。私たちAIリモートワーカーのようなサービスも、その選択肢の1つとして検討する余地があります。

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注意して読むべき点

  • 出典はOpenAI自身が公開している顧客事例ページ1本です。ChatGPT Enterprise(OpenAIの製品)の効果を紹介する目的で作られており、独立した検証や決算資料での裏づけはありません
  • ページに発表日の表記がありません。本記事ではInternet Archiveの保存日(2026年7月27日時点で確認できたこと)を時点として扱っています。実際の掲載開始時期はこれより前の可能性があります
  • 「80%超」がいつ時点の数字なのかは、原文に書かれていません。mChatの立ち上げが2023年初であることだけが明記されており、80%に到達した時期は特定できません
  • 「6ヶ月で100%活用・習熟」は目標として語られており、達成できたかどうかは本文に記載がありません
  • 「750個のGPT」「週120回の会話」はChatGPT Enterprise導入から2ヶ月時点の数字です。その後どう推移したかは分かりません
  • 「法務チーム利用率100%」「フォーラム参加者週2,000人」は、それぞれ部署単位・特定の取り組み単位の数字で、全社の数字ではありません
  • 臨床開発のGPT「Dose ID」は試験運用(pilot)中の取り組みとして紹介されており、レビューは人が主導すると明記されています
  • CEOの「数千人で10万人分」という発言は、今後の製品投入計画を見据えて事業のスケール観を語ったもので、現時点で実現した効果を測った数字ではありません

よくある質問

Q. mChatとChatGPT Enterprise、どちらの数字を見ればいいですか?

両方とも参考になりますが、性質が異なります。mChatの「80%超」は自社開発ツールが社内に浸透した実績、ChatGPT Enterpriseの「750個のGPT・週120回の会話」は導入からわずか2ヶ月というスピードを示す数字です。定着の実績を見るならmChat、立ち上げの速さを見るならChatGPT Enterpriseの数字が参考になります。

Q. この数字は監査された実績ですか?

いいえ。出典はOpenAI自身が公開している顧客事例ページで、ChatGPT Enterpriseという自社製品の価値を示す目的で作られています。決算資料や第三者機関による検証は確認できていません。製品提供元の発表として一定の重みはありますが、社外に持ち出す根拠としては弱いという前提で読むのが妥当です。

Q. 中小企業が最初に真似すべきことは何ですか?

「目標を先に数字で決める」ことです。モデルナは「6ヶ月で全社員が100%活用・習熟」という目標を掲げてから施策を組み立てています。ツールを配って終わりにせず、いつまでに何%が使えるようになっているかを先に決めることが、定着の第一歩になります。

Q. 製薬会社だからできたことでは?

規制業種だからこそ参考になる面があります。臨床開発のGPT「Dose ID」は、AIが結論を出すのではなく根拠を提示してデータを可視化し、レビューは人が主導する設計です。判断業務にAIを持ち込む際の「人が最後に見る」線引きは、業界を問わず応用できる考え方です。

Q. 「80%超」はいつ時点の数字ですか?

原文に測定時点の記載はありません。分かるのは、mChatが2023年初に立ち上がったことと、社員の80%超に採用されたと書かれていることの2点だけです。「立ち上げ直後に80%に達した」とは書かれていないので、そのように読み替えないほうが安全です。

出典

出典と、その読み方

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