1人運営の営業支援業|リード対応から受注後までを自動化し、定型19業務が14時間55分から54分に
公開 2026-09-02 / 約8分
定型19業務の合計時間(事業者実測・1件ずつ1回実行した場合)
14時間55分 → 54分
- 支援先
- 営業・マーケ支援サービスを1人で運営する事業者(個人事業)
- 業種
- BtoB向けの営業・マーケティング支援サービス
- 規模
- 営業担当は事業主1人。副業から立ち上げ、集客から受注後のフォローまでを1人で運営
- 関与形態
- 立ち上げ期から営業の仕組みづくりを一貫して設計・実装(現在も運用・改善が続いている)
- 期間
- 2026年(約半年かけて段階的に構築)
- 支援した領域
- リード対応の自動化/案件管理の自動判定/商談準備の自動化/顧客専用提案ページ/発信の自動運用/経営ダッシュボード/改善ループ
4つ目の事例は、これまでの3社とは規模がまったく違います。営業担当が事業主1人の、個人事業です。
AI化の事例は大企業のものばかりが目立ちますが、実際にいちばん人手が足りないのは小さな事業です。この事例は、人を増やせない事業でどこまで自動化できるかを、半年かけて実装した記録です。
この事例の要点
- 営業は事業主1人。商談・承認・受注の確定・施策の決裁の4つ以外は、人がやらない設計にした
- メール・商談の文字起こし・提案ページの閲覧ログを毎時自動で取り込み、CRMへの入力作業をなくした(案件のフェーズもAIが根拠つきで自動判定)
- フォーム送信から一次返信まで7分。その間に会社リサーチ・案件起票・その会社専用の提案ページの生成まで終わる(2026年9月1日の本番実走記録)
- 定型19業務の合計が14時間55分→54分(1件ずつ1回実行した場合・事業者実測)
- 記事・SNSの発信も自動運用に載せ、note119本・ブログ44本・事例19本(2026年9月時点)を1人の事業で積み上げた
- 改善施策もAIが起票し、スマホの承認1タップで15分以内に実装。これまでに51件起票・32件実装
- 最初は定着しなかった。「AIに都度頼む」やり方では事業主がボトルネックのままで、きっかけ駆動に変えて初めて回った
どんな事業者か
BtoB向けの営業・マーケティング支援サービスを提供する個人事業です。副業からのスタートで、使える時間は朝と夜、週末に限られていました。それでも問い合わせには当日中に返し、商談には準備をして臨み、毎日発信を続ける必要があります。
つまり、「人を増やせないから自動化するしかない」を最初から強制される環境です。予算も大企業のようには使えません。この制約こそが、設計の前提でした。
何が起きていたか
構築前は、よくある1人営業の状態でした。
- 問い合わせへの返信が、本業や商談で数時間止まる
- 商談準備(リサーチ・トークスクリプト・資料)に1件あたり1時間30分
- 商談後の議事録・お礼メール・記録の更新が、夜の作業として積み上がる
- 発信(記事・SNS)は「時間があったらやる」になり、続かない
- 数字の集計は月末にまとめて。気づいたときには手遅れ
どれも「頑張れば回る」業務です。しかし頑張りで回している限り、商談が増えた瞬間にすべてが崩れます。事業が伸びることが、そのままリスクになっていました。
打ち手①:CRMへの入力を、仕事から消す
最初に決めたのは「人がCRMに入力しない」ことです。
メールの全文、商談の文字起こし、提案ページの閲覧ログを毎時自動で取り込み、会社・担当者・案件をAIが自動で起票します。案件が今どの段階にあるかも、人が更新するのではなく、メールや商談での顧客側の発言を根拠にAIが自動判定します。判定には必ず根拠の引用がつくので、あとから人が検証できます。
入力がゼロになると、記録は「面倒な義務」から「勝手に貯まる資産」に変わります。
打ち手②:リードが入って7分で、専用の提案ページごと返す
2026年9月1日、本番の仕組みをそのまま動かした実走記録です。
- 14:06 見込み客がHPのフォームを送信
- 14:08 メール全文を自動取り込み
- 14:10 会社を自動リサーチし、案件を起票。フェーズと次の一手を判定
- 14:12 その会社専用の提案ページ(課題の仮説・ご提案・商談予約リンク)を生成・公開
- 14:13 AIが用意した一次返信の下書きを事業主が確認し、ワンタップで承認・送信
フォーム送信から7分です。最初の返信が最速の会社が商談を取る——それを人の張り付きではなく、仕組みで実現しました。なお、社外に出るもの(メール送信・ページ公開)は必ず人の承認を通します。
打ち手③:提案ページの「閲覧」を、次の一手に変える
提案書をPDFで送る代わりに、その会社専用のWebページを用意します。誰が・いつ・どのセクションを見たかが分かるので、たとえば「ページのURLが社内で共有された」ことが分かれば、稟議が始まる前兆として上申用の1枚サマリーを先回りで用意します。
1人の営業は、全案件の様子を覚えていられません。顧客の動きが向こうから知らせてくれる形にしたことで、追客の勘所が属人技でなくなりました。
打ち手④:発信を「時間があったらやる」から外す
毎朝5時にブログ記事が執筆・公開され、朝にSNSへ投稿し、noteが1本公開されます。人は書く作業をせず、ルールと品質基準を作る側に回ります。この体制で積み上がったのが、note119本・ブログ44本・導入事例記事19本(2026年9月時点)です。
1人の事業でこの本数は、手作業では物理的に出ません。発信が積み上がるほど検索・AI検索からの流入が増え、リードの入口が太くなります。
打ち手⑤:改善も自動で回す
毎週、実測データからAIが「次にやるべき施策」を起票します。事業主はスマホで承認するだけ。承認から15分以内にAIが実装し、2週間後に効果を再測定して、効果が出なければ自動で元に戻します。
「直す・減らす・書き換えるは自動。増やす・払う・送る・消すは人が確認」というルールで、これまでに51件が起票され、32件が実装されています(2026年9月時点)。
結果
| 指標 | 構築前 | 現在 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 定型19業務の合計時間 | 14時間55分 | 54分 | 事業者実測 |
| フォーム送信→一次返信 | — | 7分(専用提案ページつき) | 事業者実測 |
| 商談1件の準備一式 | 1時間30分 | 13分(人のレビュー時間) | 事業者実測 |
| 発信の累計 | — | note119本・ブログ44本・事例19本 | 事業者実測 |
| 改善施策 | — | 起票51件・実装32件 | 事業者実測 |
19業務の内訳は、商談準備30分→3分、トークスクリプト30分→5分、議事録20分→1分、CRM入力20分→1分、稟議用サマリー30分→1分、記事1本2時間→3分、週次の数字振り返り1時間→5分など。どれも「きっかけを検知→AIが実行→人がレビュー」の型で動いています。
最初に外した仮説:「AIに頼めば速くなる」ではなかった
最初の形は失敗でした。
構築初期は、必要になるたびにAIへチャットで指示を出すやり方でした。1件ずつは確かに速い。しかし「指示を出す」のは事業主本人なので、移動中・商談中・就寝中は何も進みません。ボトルネックが「作業」から「指示出し」に移っただけでした。
変えたのは起動の設計です。人が頼むのではなく、きっかけ(メール受信・カレンダーの商談・ページの閲覧・毎朝5時)が仕事を起動する形に組み直しました。朝起きたら商談準備が終わっている状態は、この転換の後にできたものです。
もう一つの学びは、自動化は「無音で失敗する」ことです。動いているつもりの仕組みが実は止まっていた、という事故がこの事業でも実際に起きました。以来、毎朝「昨日の仕組みが全部動いたか」を確認する見張りの仕組みを別に走らせています。自動化を増やすことと、その監視を仕組み化することは、必ずセットです。
人がやることは、4つに絞った
- 商談に出る(準備と議事録は自動)
- 承認して送信する(社外に出るものはワンタップの承認を通す)
- 受注・失注を確定する(売上に直結する判断はAIが勝手にしない)
- 施策を決裁する(改善はAIが起票、決めるのは人)
逆に、議事録・リマインド・CRM入力・レポート作成は「人がやらないこと」に決めています。もし人がやってしまったら、頑張りではなく仕組みの欠陥として改善キューに起票する運用です。
御社で再現するための条件
- Gmail・Googleカレンダー・Web会議など、普段のツールをそのまま使えること(高価なシステムの入れ替えは前提にしていません)
- 社外に出るものへの承認の関門を最初に設計すること(全自動より先に、事故らない線引き)
- 一度に全部作らないこと。「商談後のフォローだけ」のような1業務から始めて広げる
- 自動化した仕組みの監視までセットで作ること
よくある質問
Q. 1人の事業だからできたのでは?
この事例の部品(メール取り込み・フェーズ判定・提案ページ・発信運用)は、営業が複数名いる支援先でも同じ型で動いています。むしろ人数が多いほど、CRM入力や議事録といった「人がやらなくていい仕事」の総量が大きく、効果は大きくなります。1人の事業は「サボると即止まる」環境なので、仕組みの耐久試験としてはいちばん厳しい条件です。
Q. 個人事業でも費用は見合いますか?
この構成は、Gmail・Googleカレンダー・Web会議といった一般的なツールに、AIの利用料を足したものが中心で、高額なSFA/CRMの導入は前提にしていません。営業担当1人分の定型業務が週数時間単位で戻ってくるため、小さな事業ほど回収は早くなります。
Q. 全部AIに任せて、誤送信などの事故は起きませんか?
社外に出るもの(メール・ページ公開)と、受注・失注の確定、金額の変更は、必ず人が確認して承認する設計です。AIが自動で行うのはその手前の準備——下書き・判定・記録——まで。加えて、仕組みが止まっていないかを毎朝確認する監視を別に走らせています。
Q. どの業務から始めるのが良いですか?
「発生のきっかけが明確で、毎回ほぼ同じ手順」の業務からです。この事例では商談後のフォローメールと商談準備が最初でした。効果が時間で測れるので、続けるかどうかの判断もしやすくなります。無料診断では、御社の業務の中から「最初に効く1カ所」を見える化してお渡しします。
数字と、その出所
- 事業者実測
定型19業務の合計時間
14時間55分→54分
1件ずつ1回実行した場合の合計(2026年9月時点・内訳は本文)
- 事業者実測
フォーム送信→一次返信
—→7分
2026年9月1日の本番実走記録。専用提案ページの公開・下書きの人の承認まで含む
- 事業者実測
商談1件の準備一式
1時間30分→13分
企業リサーチ+トークスクリプト+提案資料。13分は人のレビュー時間
- 事業者実測
発信の累計本数
—→note119本・ブログ44本・事例19本
2026年9月時点。毎朝の自動運用で積み上げた本数
- 事業者実測
改善施策の起票→実装
—→起票51件・実装32件
改善キュー台帳(2026年9月時点)。承認から15分以内にAIが実装
いずれも複数の施策を同時に進めた期間の前後比較であり、AIツール単体の寄与を切り出した数字ではありません。 計測と記載のルールは支援実績の編集方針に記載しています。
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