フィンテック企業|3ヶ月で9キーワード検索1位。営業の手作業も自動化し、新規提携が月10件から20件に
公開 2026-08-25 / 約13分
新規提携社数(集客と営業自動化を同時に進めた結果)
月10件 → 月20件
- 支援先
- 融資マッチングを運営するフィンテック企業
- 業種
- 金融(融資マッチングプラットフォーム)
- 規模
- 提携金融機関数十行・提携事業会社1,000社超・累計申込総額1,000億円超。従業員数十名のスタートアップ
- 関与形態
- 業務委託(週5日・1日6時間)。アライアンス&イネーブルメント責任者として、集客・営業プロセス・広告・顧客管理のAI化を担当
- 期間
- 2026年〜(数字が動き始めたのは1ヶ月目から)
- 支援した領域
- AIO・LLMO対策/コンテンツSEO/商談資料の自動化/CRM自動入力/独自システム連携/インサイドセールスのメール/広告運用の自動化/ナーチャリング自動化
新しいサービスを立ち上げたとき、最初に立ちはだかるのは「誰も名前を知らない」という壁です。指名検索はゼロ、比較サイトにも載っていない。広告を止めた瞬間に流入も止まります。
この支援先も、2026年に事業者向けの新サービスを立ち上げたばかりでした。検索でもAIの回答でも、まだ存在しない会社という状態からのスタートです。
この事例の要点
- 3ヶ月で 83本 のオウンドメディア記事を公開し、23キーワードで検索1ページ目・9キーワードで自然検索1位を獲得した
- サービス名の指名キーワードで、公式サイトより上位の1位を取った(AIと検索エンジンに対して「このサービスは何か」を定義する一次情報を確立した)
- Yahoo!検索のAI回答が、自社記事を引用元として採用。AI検索(AIO/LLMO)での初の実績になった
- 並行して、商談後の資料作成・CRM入力・メール作成・広告運用・ナーチャリングを自動化した
- 商談前後の手作業を自動化し、提案レポートは1時間半→5分、CRM入力は30分→1分。受注率は10%→20%、商談化率は1.5倍になった
- 結果として、新規提携社数は月10件から月20件に増えた
- 最初はAI研修から始めたが「何をAI化すればいいか分からない」状態になった。先に1プロジェクトを実装して見せる順番に変えて動き出した
- 支援終了後はマーケティング担当者へ引き継ぎ済み。記事の自動生成からターゲット・キーワードの戦略設計まで自動で回っている
- 記事は広告と違って止めても消えない資産として残る。この点が、予算の限られたスタートアップでの意思決定を変えた
支援先はどんな会社か
融資を受けたい個人・事業者と、金融機関をつなぐマッチングプラットフォームを運営するフィンテック企業です。創業から10年に満たない会社ですが、提携金融機関は数十行、提携する事業会社は1,000社超、累計の申込総額は1,000億円を超えています。従業員は数十名の規模です。
この会社が新たに立ち上げたのが、中小企業・個人事業主向けの事業性資金調達のマッチングでした。個人向けで積み上げた実績があっても、事業者向けは別のサービスです。ターゲットも検索する言葉も変わります。
何が起きていたか
新規事業の集客で、次の3つが同時に起きていました。
- 指名検索がない:サービス名を知っている人がいないので、名前で探されることがない
- 競合が強い:資金調達というテーマは、銀行・大手比較サイト・専門メディアが上位を占めている
- 広告に依存すると止められない:出稿を止めれば流入がゼロに戻る構造
同時に営業側でも、商談は増えているのに1件ごとの準備と後処理に時間がかかり、提携先を増やすほど運用が重くなるという状態がありました。
打ち手①:検索とAIの両方から見つかる状態をつくる
記事を量産したわけではありません。「検索エンジンとAIの両方に評価される設計」を全記事に実装しました。
- 検索意図から逆算したキーワード設計(勝てるロングテールを実データで選定)
- 商材の構造を正確に解説する(融資の種類ごとに条件が違うため、ここを曖昧にすると読者に不利益が出る)
- E-E-A-T対策として、金融実務31年の専門家による監修・公的機関の一次ソース引用・運営者情報の明示を全記事に入れる
- AI検索(LLMO)対応として、質問形式の見出しと定義から入る導入を採用する
- ハブ&スポーク設計の内部リンクで、サイト全体の専門性評価を底上げする
3ヶ月で83本。この積み上げの結果が、23キーワードの1ページ目と9キーワードの1位です。
特に重点セグメントに定めた業界では、主要キーワードで1位を独占しました。言い回しを変えたキーワードでも2位に入り、面で押さえる状態になっています。
打ち手②:AI検索に「このサービスは何か」を定義させる
いま検索の入口は、AIが生成する要約回答(AI Overview、Yahoo!のAI回答、ChatGPT等)に移りつつあります。ここで起きた実績が2つあります。
- Yahoo!検索のAI回答が、自社記事を引用元として採用した。 AIは検索上位のページを参照して回答を作るため、1位の記事が増えるほど引用される確率が上がります。
- サービス名の指名キーワードで、公式サイトより上位の1位を取った。 新しいサービス名は、AIにとって「まだ意味の分からない言葉」です。その言葉の定義を書いた一次情報が検索1位にあることで、AIが参照する定義を自社側が握れます。
AI検索の対策は、特別な裏技があるわけではありません。AIが読む場所(=検索上位)に、答えの形をした一次情報を置くことが実装のすべてです。
打ち手③:商談前後の手作業をなくす
集客と並行して、営業プロセスそのものも自動化しました。
商談前
- 相手企業の公開情報を自動リサーチし、想定課題と提案の骨子をまとめたレポートを事前に用意する
- フィールドセールス向けに、その企業向けにカスタマイズした提案レポートと商談資料を自動生成する
- 顧客ごとに文面を変えたインサイドセールスのメールを自動作成する
商談後
- 商談が終わると、議事録がCRM(Zoho)へ自動で入力される
- ボタンを1つ押すと、独自システムと連携して、その相手専用のアフィリエイトコードを含んだメールが下書きとして生成される
- 提携後の書類・チラシ・QRコード・共有フォルダの作成まで、一連の流れとしてつながる
ここでも設計の考え方は同じで、トリガー(商談が終わる)→ 自動(生成される)→ 人はレビューして送るという形にしています。メールの送信だけは必ず人が確認してから行う設計です。
時間の変化はこうなりました。
| 業務 | Before | After |
|---|---|---|
| フィールドセールス向けの提案レポート | 1時間30分 | 5分 |
| 商談資料 | 1時間 | 5分 |
| CRM(Zoho)への議事録入力 | 30分 | 1分 |
| 専用コード入りメールの下書き(独自システム連携) | 30分 | 1分 |
| インサイドセールスのカスタマイズメール | 20分 | 1分 |
ただし、ここで見るべきは短縮率ではありません。時間が減ったことで、それまで「やれたらやる」だった作業が全件に回るようになったことです。
- インサイドセールスのメールは、1通20分では全員分を個別化できません。1分になったことで全件を相手ごとに書けるようになり、返信率は2倍、アポ率は1.5倍になりました
- 提案レポートも同じで、1時間半かかるうちは重要な商談にしか付けられません。5分になれば全商談に付きます。結果として商談化率は1.5倍、受注率は10%から20%になりました
準備の質を落とさずに全件へ回せるかどうかが分かれ目で、時間短縮そのものが成果ではありません。
打ち手④:ターゲット設計と広告・ナーチャリングをAI側に寄せる
- ターゲット設計とマーケティング施策の策定(比較サイトの活用可否、狙う検索キーワードの選定を含む)
- Google広告の運用をAI化・自動化し、手動運用の比重を下げる
- CRMの既存顧客情報をもとに、クロスセル・アップセルの優先順位が高い顧客のリスト化 → ペルソナ設定 → ナーチャリングメールとメルマガの配信設定までを自動化する
既存顧客のリストは、たいてい「あるが使われていない」状態になっています。誰に何を送るべきかを人が考える工程が重いからです。ここを自動で並べ替えるだけで、動かせる母数が変わります。
- ターゲット設計とキーワード選定:10時間 → 30分
- Google広告の運用作業:2時間 → 30分
- 既存顧客リストの優先順位付けからメルマガ配信設定まで:5時間 → 30分
ターゲット設計が10時間かかると、四半期に1回しか見直せません。30分で回せるようになると、施策の結果を見て月次で組み替えられます。頻度が変わることが、この3つの本当の効果です。
結果
集客・AI検索(2026-07-23実測)
| 指標 | 支援前 | 支援後 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 検索1ページ目のキーワード数 | 0 | 23 | クライアント実測 |
| 自然検索1位のキーワード数 | 0 | 9 | クライアント実測 |
| 公開記事本数 | 0 | 83本(3ヶ月) | クライアント実測 |
| サービス指名キーワードの順位 | 圏外 | 1位(公式サイトより上位) | クライアント実測 |
| AI検索での引用 | 0件 | 1件(Yahoo! AI回答) | クライアント実測 |
営業プロセスと事業成果
| 指標 | 支援前 | 支援後 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 新規提携社数 | 月10件 | 月20件 | クライアント実測 |
| 受注率(商談→受注) | 10% | 20% | クライアント実測 |
| 商談化率 | — | 1.5倍 | クライアント実測 |
| インサイドセールスのメール返信率 | — | 2倍 | クライアント実測 |
| 同・アポ率 | — | 1.5倍 | クライアント実測 |
| 提案レポート1本の作成時間 | 1時間30分 | 5分 | 当社実測 |
| CRMへの議事録入力 | 30分 | 1分 | 当社実測 |
| ターゲット設計とキーワード選定 | 10時間 | 30分 | 当社実測 |
順位はすべて、検索結果画面で広告枠を除いて目視確認した実測値です(2026年7月23日時点)。検索順位は変動するため、時点とセットでのみ意味を持ちます。
なお、一般にSEOは順位が確立するまで6〜8週間かかります。この時点で投入した83本の大半はまだ評価形成の途中であり、上振れの余地が残っている状態での数字です。
最初に外した仮説:研修から始めて、止まった
着手時のご要望は「社員が自走できるようにしてほしい」でした。そこでAI研修から始めています。これは順当な入り方に見えます。
しかし研修を終えた後、「で、何をAI化すればいいのか分からない」という状態になりました。使い方は分かっても、自分の業務のどこに当てはめるかは別の話だからです。
そこで順番を入れ替えました。
- 先にプロジェクトを1本実装して見せる(例:「採用記事を作るなら、この形で自動化できます」)
- プロジェクト単位でAI化の要領を掴んでもらう
- その後にAI研修を入れる
- 最終的にマーケティング責任者へ引き継ぐ
この順番にしてから動き出しました。研修を先にすると抽象論で終わり、実物を先に見せると研修の内容が自分の業務に接続される。この順番が、この案件でいちばん重要だった学びです。
支援先からの評価
支援先の担当者から、こう言われました。
すでに自動化を試みていたが、自社に他にもこんなにAI化できる業務があるとは気づかなかった。やっぱりSFAの導入経験を持っている人が営業組織を見てくれると違うなと実感した。
すでに自動化に取り組んでいる会社ほど、残っている自動化余地が見えなくなります。今のやり方の中で改善できる部分は、もう手を付け終わっているからです。外から見て初めて分かるのは、「その業務、そもそもやらなくていいのでは」という部分のほうです。
体制と、抜けた後どうなったか
体制:週5日・1日6時間の関与です。数字が動き始めたのは1ヶ月目でした(記事の順位は6〜8週間かかるため、先に動いたのは営業プロセス側の指標です)。
抜けた後:マーケティング担当者へ引き継ぎ、そのまま回っています。引き継いだ範囲は次のとおりです。
- SEO記事の自動生成と公開まで
- 「どんなターゲットを狙って、どんなキーワードを取っていくべきか」という戦略設計そのものの自動化
記事を書く作業だけを渡すと、渡された側が「次に何を書くか」で止まります。何を狙うかを決める工程まで含めて渡したので、担当者が交代しても運用が続きます。
ツール費:Google Workspaceに付属するGeminiなど、すでに契約していたGoogle系のAIを中心に構成したため、追加費用はほとんど発生していません。
なぜ効いたのか
新規サービスの立ち上げでは、指名検索が存在しないことが最大の制約になります。 広告で買えるのは一時的な流入だけで、名前の意味は買えません。ここでやったのは、名前の意味を検索とAIの両方に定義させることでした。
もう一つは、営業の自動化を集客と同時に進めたことです。集客だけを強化すると、増えた商談の準備と後処理で現場が詰まり、結局リードを取りこぼします。入口と処理能力は必ず同時に上げる必要があります。
新規提携社数が月10件から月20件になったのは、この両輪の結果です。入口(見つけてもらう)と、1件あたりの打率(受注率10%→20%)と、さばける件数(準備時間の短縮)が同時に動いたので、営業の人数を増やさずに件数が倍になりました。どれか1つだけを改善していたら、別のどこかが詰まって止まっていたはずです。
御社で再現するための条件
- 検索される課題がある商材である(誰も検索しないテーマでは、この打ち手は効きません)
- 正確に書ける専門知識が社内にある、または監修者を立てられる
- 3ヶ月以上の時間を取れる(SEOは公開から順位確立まで6〜8週間かかる)
- 商談後の処理に一定の型がある(毎回まったく違う手順なら、自動化の前に型化が先)
よくある質問
Q. 記事は何本くらい必要ですか?
このケースでは3ヶ月で83本でした。ただし本数そのものが効いたわけではありません。1本ずつが特定の検索意図に正面から答えていることと、内部リンクで専門性が束ねられていることが条件です。設計のない記事を100本出しても順位は付きません。
Q. AI検索(AIO・LLMO)の対策は、SEOと別物ですか?
別物ではありませんが、重なりも100%ではありません。AIが参照するのは検索上位のページなので、SEOはAIO対策の前提条件です。そのうえでAIO側に固有の要素があります。質問形式の見出し、定義から入る導入、統計と出典の明示、そして自社ドメインの外での言及です。最後の1つが最も効きますが、自社サイトだけでは作れません。
Q. 順位はどうやって確認しましたか?
検索窓にキーワードを入力し、広告表示を除いた自然検索の結果で自社記事の位置を目視で確認しています。ツールの推定値ではなく実際の検索結果画面なので、クライアント側でも同じ手順で再現できる形にしています。
Q. AI研修から始めるのは間違いですか?
順番の問題です。この案件では研修から入って「何をAI化すればいいか分からない」状態になり、先に1プロジェクトを実装して見せてから研修という順番に変えて動き出しました。研修だけを先にすると、内容が自分の業務に接続されないまま終わります。実物を1つ見てからのほうが、同じ研修でも吸収率が変わります。
Q. 支援が終わったら、元に戻ってしまいませんか?
この案件ではマーケティング担当者へ引き継ぎ、記事の自動生成からターゲット・キーワードの戦略設計まで自動で回っています。戻らないようにするコツは、作業だけを渡さないことです。「何を狙うか」を決める工程を人に残すと、その人が変わった瞬間に止まります。
Q. 営業プロセスの自動化は、どこから手を付けるべきですか?
件数×1件あたりの時間が最も大きい業務からです。多くの会社では、商談後の議事録入力と、その次の商談に向けた資料作成がここに該当します。逆に、月に数回しか発生しない業務は、自動化しても体感が変わらないため後回しで構いません。
数字と、その出所
- クライアント実測
検索1ページ目のキーワード数
0→23
2026-07-23に検索結果画面で目視確認。広告枠を除いた自然検索の順位
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
自然検索1位のキーワード数
0→9
同上。2位が4本、3位が2本
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
公開した記事本数
0→83本
3ヶ月(2026年4月〜7月)の累計
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
サービス指名キーワードの順位
圏外→1位
「サービス名+とは」で公式サイトより上位
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
AI検索での引用
0件→1件
Yahoo!検索のAI回答が自社記事を引用元として採用
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
新規提携社数
月10件→月20件
集客と営業プロセスの自動化を同時に進めた期間の前後比較
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
受注率(商談→受注)
10%→20%
フィールドセールス向けの提案レポートを自動生成するようにした後
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- クライアント実測
商談化率
—→1.5倍
同上
クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値
- 当社実測
フィールドセールス向け提案レポートの作成
1時間30分→5分
相手企業をリサーチしたうえでカスタマイズした提案レポート1本あたり
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
商談資料の作成
1時間→5分
1本あたり
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
CRM(Zoho)への議事録入力
30分→1分
1商談あたり
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
独自システム連携(専用コード入りメールの下書き)
30分→1分
商談後にボタン1つで下書きが生成される状態にした
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
インサイドセールスのカスタマイズメール作成
20分→1分
1通あたり。返信率は2倍、アポ率は1.5倍
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
Google広告の運用
2時間→30分
1回の運用作業あたり
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
ターゲット設計とキーワード選定
10時間→30分
1回あたり
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
- 当社実測
既存顧客リストからのメルマガ配信設定
5時間→30分
1回あたり。優先順位付けからペルソナ設定・配信設定まで
当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)
いずれも複数の施策を同時に進めた期間の前後比較であり、AIツール単体の寄与を切り出した数字ではありません。 社名を伏せている理由と、そのぶん守っている編集方針は支援実績の編集方針に記載しています。
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