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上場BPO企業|提案資料と決裁者向け動画を自動生成し、チームの受注率が8%から45%に

公開 2026-08-26 / 約11

チーム全体の受注率(商談→受注)

8% → 45%

支援先
国内上場のBPO(業務代行)企業
業種
BPO・業務代行(BtoB・月額サブスクリプション型)
規模
従業員数百名・売上数十億円規模。企業のバックオフィス業務を代行するサービスを主力とする
関与形態
営業・マーケティング組織全体のAI化を統括する立場で参画(週3日・1日8時間/設計・実装・定着まで)
期間
約1年(数字が動き始めたのは3ヶ月目から)
支援した領域
提案資料の自動生成/決裁者向け動画/顧客専用LP/ステップメール/商談録画の自動解析/SFA自動入力/AIチャット

BtoBの営業で最も多い失注は、競合に負けた失注ではありません。「担当者は納得したのに、その先の決裁者に伝わらないまま止まった」という失注です。

この支援先でも、同じことが起きていました。商談の手応えは悪くない。それでも受注率は8%。原因を1件ずつ遡ると、担当者が社内で上申する場面に到達したところで案件が消えていました。

この事例の要点

  • 支援前のチーム受注率は 8%。失注理由の多くは競合比較ではなく「社内で上申されないまま止まった」だった
  • 最初は現場に「AI化したい業務はありますか」と聞いて進めたが、経営インパクトのある成果は出なかった。KPIからの逆算に切り替えて数字が動いた
  • 打ち手は営業のトーク改善ではなく、担当者が上申しなくても決裁者に伝わる状態を作ることに置いた
  • 商談が終わると、その顧客専用の提案資料・ナレーション動画・専用ページが自動で生成される流れを実装した
  • 結果、チーム全体の受注率は 45%、同じ仕組みを使った個人では3ヶ月平均 70% に到達した
  • 商談の前段も自動化し、リード数は1.5倍、ステップメールからの商談化率は1.3倍になった
  • サイトのAIチャットからは、営業が商談をせずに決まる受注が月10件生まれた
  • 効いたレバーは「商談数」でも「トークの質」でもなく、1商談あたりの意思決定の到達率だった

支援先はどんな会社か

国内の証券市場に上場しているBPO(業務代行)の企業です。企業のバックオフィス業務を代行するサービスを主力にしています。従業員は数百名、売上は数十億円の規模です。

商材は月額のサブスクリプション型で、決裁者は経営者または管理部門の責任者。現場担当者と決裁者が別人という、BtoBでよくある構造でした。

何が起きていたか

参画してまず行ったのは、失注案件の棚卸しです。営業に理由を聞くと「予算が合わなかった」「タイミングが悪かった」という回答が返ってきますが、商談録画を実際に確認すると、別の景色が見えました。

  • 商談中、担当者の反応は良い。導入したい意向も口に出している
  • しかし持ち帰った後、社内の会議で説明するのはその担当者自身である
  • 担当者は当社サービスの専門家ではないので、上司から質問されると答えられない
  • 提案資料は営業が作った汎用資料で、その会社の事情に合わせて書かれていない

つまりボトルネックは商談の中ではなく、商談が終わった後の社内会議にありました。営業がその場にいない場所で、いちばん重要な意思決定が行われていたわけです。

ここを「担当者の上申スキルの問題」として扱うと、打ち手は永遠に見つかりません。担当者が上申しなくてもいい状態を作るしかない、というのが最初に決めた方針でした。

打ち手①:商談後に、顧客専用の提案物が自動で生成される流れを作る

営業がやることは、商談を終えることだけです。そこから先は人がメッセージを打たなくても進みます。

  1. トリガー:商談が終わり、録画と議事録が上がる
  2. 自動:議事録から相手企業の状況・課題・検討観点を抽出し、その顧客向けの提案資料を生成する
  3. 自動:同じ内容をナレーション付きの動画にする(音声生成とスライド自動生成の組み合わせ)
  4. 自動:資料・動画・検討の経緯をまとめたその顧客専用のページを発行する
  5. :営業が内容をレビューし、必要な箇所だけ直して共有する

担当者は、社内会議でこのページのURLを共有するだけで済みます。上司は隙間時間に動画を見れば要点が分かる。営業が同席できない会議に、営業の説明を置いてくることができるようになりました。

資料の構成は営業組織の型に合わせて固定しています。作るたびに構成が変わると、レビューする側の負荷が上がって結局使われなくなるためです。

打ち手②:リード獲得の直後から個別化する

商談前も同じ考え方で自動化しました。

  • 問い合わせが入った時点で企業情報と想定課題を自動リサーチし、その会社に合わせた文面でインサイドセールスのメールを送る
  • すぐに商談化しなかったリードには、ペルソナ別のステップメールを自動配信する
  • ホワイトペーパーや検索流入向けの記事も自動生成し、獲得の母数そのものを増やす

営業担当は「自動でリサーチされた情報が勝手に届くので、それを使うだけ」という状態になります。現場にAIツールを配って使い方を覚えてもらう進め方は取っていません。

この結果、リード数は1.5倍になりました。あわせて、すぐに商談化しなかったリードからの商談化率も1.3倍です。後者は特に、それまで実質的に捨てていた母数から取れるようになった分なので、追加の獲得コストがかかっていません。

打ち手③:商談の質を、人が見なくても検知する

  • 商談録画を自動要約してSFAへ自動入力(営業の入力作業をなくす)
  • 商談内容を自動解析し、説明が抜けている項目を検出したらSlackでマネージャーに通知
  • マネージャーは録画の該当箇所だけを確認し、追加資料の送付や次回同席を判断する
  • 1回目の議事録から2回目の商談資料を自動生成する

マネージャーが全件の録画を見るのは不可能です。見るべき案件だけが向こうから上がってくる状態にしたことで、レビューが実際に回るようになりました。

打ち手④:商談を経ずに決まる導線をつくる

自社サイトに顧客向けのAIチャットを設置し、社内の事例情報を学習させました。訪問者の状況に応じて類似事例と貢献プランを提示し、よくある質問には約30パターンの動画をレコメンドします。

営業を介さずに検討が進み、そのまま申し込みに至る経路が生まれました。この経路からの受注は月10件です。商談を1件も行わずに決まっているため、営業の稼働はゼロのまま積み上がります。人が対応しないと売れない、という前提そのものを外した部分です。

結果

指標支援前支援後出所
チーム全体の受注率(商談→受注)8%45%クライアント実測
同じ仕組みを使った個人の受注率70%(3ヶ月平均)クライアント実測
提案資料1本の作成時間1時間5分当社実測
提案動画1本の作成時間1時間5分当社実測
リード数1.5倍クライアント実測
ステップメールからの商談化率1.3倍クライアント実測
AIチャット経由の受注(商談なし)0件月10件クライアント実測

受注率の定義は「商談化した案件のうち受注に至った割合」で統一しています。

最初に外した仮説

正直に書くと、最初のやり方は失敗でした。

着手時は現場に「AI化したい業務はありますか」と聞いて回り、要望のあった業務から順にAI化していました。これは一見、正しい進め方に見えます。現場の困りごとから始めるのは、業務改善の定石だからです。

しかし結果は、既存業務が少し効率化されただけでした。商談数も受注数も動きません。

理由は後から分かりました。現場に聞くと、今のやり方を前提にした答えしか返ってこないからです。「この入力が面倒」「この転記に時間がかかる」——どれも本当の困りごとですが、売上から逆算されていないので、解決しても経営指標は動きません。今のやり方そのものが正しいのか、という問い直しは現場からは出てきません。

そこで進め方を変えました。SFAを大企業に販売していた経験をもとに、「営業組織とKPIをこう設定し、ここを自動化すればインパクトが出る」という設計を先に提示し、コンサルティングに近い形で内製化を進めるやり方です。ここから各指標が動き始めました。

このとき現場から言われた言葉が、進め方の正しさを裏付けていました。

そもそもこういうAI化の仕組みや流れ自体、自分たちでは思いつかなかった。海外事例などを調べた上で、こういうフローで組むべきという形に落とし込んで作ってくれた方がありがたい

支援先からの評価

支援先の担当者から、こう言われました。

代表がAI化を積極的に進めるという対外的な投資家向けメッセージは出せていたものの、社内メンバーが全くついてこられない現状だった。従業員にAIを使おうという話をしても既存業務を少し効率化する程度にとどまり、商談数や受注数がアップするようなAIプロジェクトが立ち上がらない傾向があった。佐々木さんの場合は営業統括かつAIも使えるという両方を兼ね備えた方だったので、商談数を増やすには、受注数を増やすには、といったKPIから逆算して何をAI化すればいいかというコンサル的アドバイスがあったのがありがたかった。

「AIを使おう」という号令と、実際に数字が動くプロジェクトの間には距離があります。その距離を埋めるのは、AIの知識ではなくどのKPIを動かすかを決められることでした。

体制と、抜けた後どうなったか

体制:週3日・1日8時間の関与です。フルタイム1人分ではありません。数字が動き始めたのは3ヶ月目からでした。

抜けた後:ワークフローの自動化をほぼ実装しきったため、そのまま回っています。たとえば商談まわりは、次の流れが人の操作なしで進みます。

  1. Googleカレンダーに商談の予定が入る
  2. その情報をもとに、顧客の公開情報を自動でリサーチする
  3. 仮説を立て、提案レポートを作成する
  4. Slackへ自動で通知される

営業は通知を見るところから始められます。誰かが動かし続けなければ止まる仕組みにしなかったので、支援が終わった後も調整なしで稼働しています。

ツール費:もともとGoogle Workspaceを導入していたため、そこに付属するAI機能を中心に構成しました。追加のツール費はほとんどかかっていません。

なぜ効いたのか

数字が動いた理由を、後から整理するとこうなります。

動かしたレバーは商談数ではなく、1商談あたりの意思決定の到達率でした。 商談数を2倍にする施策は、営業の稼働も2倍必要になります。一方、すでに手応えのある商談が社内会議で止まっているなら、そこを通すだけで受注は増えます。同じ母数から取れる件数が変わるので、稼働を増やさずに数字が動きます。

もう一つは、現場に判断を求めなかったことです。上に書いたとおり、要望を聞いて回る進め方では数字は動きませんでした。営業が何かを入力しなくても資料と動画が出来上がっている状態を先に作り、現場をその前提のフローに乗せる。使うかどうかを現場に委ねると、慣れたやり方に戻ります。

御社で再現するための条件

同じ数字がどの会社でも出るとは考えていません。この事例が効くのは、次の条件が揃っている場合です。

  • 商談の相手と決裁者が別人である(担当者が社内で上申する構造になっている)
  • 失注理由に「社内調整がつかなかった」「検討が止まった」が一定数含まれている
  • 商談が録画されている、または議事録が残る運用がある
  • 商材の説明に、ある程度の型がある(毎回ゼロから設計する受託型ではない)

逆に、その場で決裁者が決める商材や、単価が低く商談自体が発生しない商材では、この打ち手のレバーは効きません。

よくある質問

Q. 受注率8%から45%というのは、AIだけの効果ですか?

いいえ。同じ期間に営業プロセスの見直しも行っているため、AIツール単体の寄与を切り出した数字ではありません。ここで正確に言えるのは、「担当者が上申しなくても決裁者に伝わる状態」を作るという方針を立て、その実装手段としてAIによる自動生成を使い、結果としてチームの受注率が8%から45%になった、という事実関係です。数字の定義(商談→受注)と計測主体(クライアント側)を明示しているのは、この読み替えができるようにするためです。

Q. 現場の営業に、新しいツールを覚えてもらう必要はありましたか?

ほとんどありません。この事例で採った設計は「人がメッセージを打たなくてもワークフローが進む」形です。営業がやることは商談を終えることと、出来上がった資料をレビューして共有することの2つでした。AIとの対話画面を毎日開いてもらう前提の設計にすると、使う人と使わない人に分かれて定着しません。

Q. 社名を公開していないのはなぜですか?

支援先の許諾を得ていないためです。実在する企業の実績ですが、社名の公表は先方の判断事項です。そのため当社は、社名の代わりに公開情報で規模感の裏が取れる粒度の会社像(上場市場・従業員規模・事業モデル)と、数字を誰が測ったかを明記する形をとっています。

Q. どのくらいの体制と期間が必要ですか?

この事例は週3日・1日8時間の関与で、数字が動き始めたのは3ヶ月目からでした。フルタイムで人を採用する必要はありません。ただし、月に数時間だけ相談に乗る形では動きません。実際に実装して現場に乗せるところまでやる必要があるためです。

Q. ツールの費用はどのくらいかかりましたか?

この事例ではもともとGoogle Workspaceを導入していたため、付属のAI機能を中心に構成し、追加のツール費はほとんど発生していません。すでに契約しているものの中に使えるものがあるかを先に確認するのが、費用面では最も効きます。

Q. 同じことを、うちの規模でもできますか?

規模よりも、上の「再現するための条件」に当てはまるかどうかで判断してください。この事例は従業員数百名規模の上場企業ですが、実装した仕組み自体は営業1〜数名のチームでも動きます。むしろ人数が少ないほど、資料作成に人手を割けないぶん効果が出やすい領域です。

数字と、その出所

  • クライアント実測

    チーム全体の受注率(商談→受注)

    8%45%

    参画時と、仕組みが定着した後の比較。受注率の定義は「商談化した案件のうち受注に至った割合」

    クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値

  • クライアント実測

    同じ仕組みを使った個人の受注率

    70%

    3ヶ月平均。参画者本人が同じ自動生成フローで商談した場合

    クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値

  • 当社実測

    提案資料1本の作成時間

    1時間5分

    2回目商談用の提案資料。同じ構成・同じ品質基準で生成した場合の比較

    当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)

  • 当社実測

    提案動画1本の作成時間

    1時間5分

    音声生成とスライド自動生成を組み合わせた場合

    当社が同じ手順で計測した値(計測方法を本文に記載)

  • クライアント実測

    リード数

    1.5倍

    記事・ホワイトペーパーの自動生成とインサイドセールスの個別化を進めた後

    クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値

  • クライアント実測

    ステップメールからの商談化率

    1.3倍

    すぐに商談化しなかったリードへの自動配信分

    クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値

  • クライアント実測

    AIチャット経由の受注

    0件月10件

    営業が商談を行わずに申し込みまで至った件数

    クライアント側の管理画面・SFA等で計測された値

いずれも複数の施策を同時に進めた期間の前後比較であり、AIツール単体の寄与を切り出した数字ではありません。 社名を伏せている理由と、そのぶん守っている編集方針は支援実績の編集方針に記載しています。

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