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ユニリーバ(Unilever)|商品撮影を「資産」に変えたら、制作費が最大55%減り、クリック率が2倍になった

公開 2026-08-19 / 約9

コンテンツ制作の節約幅(美容・ウェルビーイング部門・原文は「up to 55% savings」)

最大55%

出典:自社発表2025-03-18時点)

地域
🇬🇧 イギリス(海外)
業種
消費財
AI化した領域
広告コンテンツ制作/商品画像のデジタルツイン/ECコンテンツ/ブランド一貫性
出典の種別
自社発表/報道/ベンダー事例

AIでコンテンツを速く安く作った、という事例は山ほどあります。この事例が参考になるのは速さそのものではなく、「撮影」を「資産」に変えた構造のほうです。

この事例の要点

  • 商品パッケージのデジタルツイン(3Dの複製)を作り、撮影せずに広告・ECのコンテンツを生成する体制へ
  • 部門を限定しない公表値は、商品画像の制作が2倍速・50%安く、ブランドの一貫性は100%
  • 美容・ウェルビーイング部門(TRESemmé・Dove・ヴァセリン・Clear)では、節約が最大55%、制作が65%高速化
  • そのうえでクリック率は2倍、注視時間は3倍(同部門・同社発表)。制作効率だけでなく成果側の数字を出している
  • TRESemméタイでは制作コスト87%減・制作2倍速・購入意向5%増
  • 工程の重複は平均5から1へ。ベンダー(NVIDIA)側の発表では制作期間が数か月から数日
  • 発言者は最高成長・マーケティング責任者(CGMO)。マーケの責任者が自分の部門の数字として語っている

どんな会社か

DoveやTRESemméを持つ世界最大級の消費財メーカーです。ブランド数も市場数も桁違いですが、この事例の構造は「同じ商品を、市場ごと・チャネルごとに違う形で見せ続けなければならない」という、規模を問わず存在する問題への回答です。

何をAI化したのか

中心は撮影の置き換えです。

  • 商品パッケージごとにデジタルツイン(3Dの複製)を1回だけ作る
  • 以後の広告・EC・SNS用の画像は、撮影せずにそのツインから生成する
  • 背景・角度・照明・季節感の違いは生成側で吐き分ける
  • ブランドの見え方(色・ロゴ・質感)は3Dデータ側で固定されているので、量産しても崩れない

つまり「1商品×何十パターンの撮影」を「1回のモデリング×無限の生成」に変えた、という話です。

同社の説明で効いているのは、デジタルツイン1ファイルの中にその商品のすべての種類・表示ラベル・パッケージ・言語版が入っているという点です。商品データの「唯一の正本」を1つ持つ形にしてあります。工程の重複は平均5から1になったと書かれています。

この事例の核心は「都度作る」をやめたこと

ユニリーバの公表値。美容・ウェルビーイング部門で節約は最大55%、制作は65%高速化、クリック率は2倍、注視時間は3倍。TRESemméタイでは制作コスト87%減
ユニリーバの公表値。美容・ウェルビーイング部門で節約は最大55%、制作は65%高速化、クリック率は2倍、注視時間は3倍。TRESemméタイでは制作コスト87%減

55%や65%という数字は結果であって、原因は構造の変更です。

従来のコンテンツ制作は、キャンペーンのたびに撮影から始まる仕事でした。時間がかかる理由も、コストがかかる理由も、市場ごとに見え方がばらつく理由も、すべて「都度作っている」ことにあります。

デジタルツインは、その最初の1回を再利用できる資産に変えます。以後の制作は「ゼロから作る」ではなく「資産から生成する」になり、速さとブランドの一貫性が同時に手に入ります。速くなったのは頑張ったからではなく、作り方の構造を変えたからです。

そして、この事例が他のコンテンツAI事例と違うのは成果側の数字まで出していることです。美容・ウェルビーイング部門ではクリック率が2倍、注視時間が3倍。TRESemméタイでは購入意向が5%増と書かれています。

ここは注意して読む価値があります。制作を安くした事例は山ほどありますが、安くしたぶん反応が落ちていないかまで書いてあるものは少ないからです。「速く安く作れても売れなければ意味がない」という問いに、同社は数字で答えようとしています。

中小企業が真似できる3点

デジタルツインの設備投資は不要です。構造だけ持ち帰ります。

① 「都度作っているもの」を洗い出す

提案書・会社紹介・製品説明・メール文面。毎回ゼロから書いているものが、資産化の候補です。作るたびに時間がかかり、作るたびに表現がばらつくものほど効きます。

② 資産を1回だけ作って、使い回す

同社のデジタルツインにあたるものは、中小企業なら「会社の紹介文・事例・製品説明の正本」です。正本を1つ整備して、提案書もWebもメールもそこから生成する。当社が商談資料・動画・共有ページの文言を1つの正本から生成しているのも同じ理由です。

③ 量が増えたときの「崩れ」を先に決めておく

同社はブランドの見え方を3Dデータ側で固定しました。文章ならトーン・使っていい実績数字・禁止表現を先に文書化しておくことが同じ役割を果たします。量産の前に枠を作る、の順番です。

こうした「正本を整備して、制作をAIに載せる」流れは、マーケの実務が分かっている人が設計しないと形になりません。社内に担い手がいない場合は外部に任せる選択肢もあり、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもその1つとして検討する余地があります。

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注意して読むべき点

  • 数字はすべて同社の発表と役員の発言です。第三者の検証を経ていません
  • 原文は「up to 55% savings」=「最大55%の節約」です。「削減率が常に55%」ではなく、また節約の対象がコストのみを指すとも明示されていません(同じ発表内のTRESemméタイの例では「content creation costs」と明記されています)
  • 55%・65%・クリック率2倍・注視時間3倍は、いずれも美容・ウェルビーイング部門の数字です。全社の実績ではありません
  • 87%減・購入意向5%増はTRESemméのタイ市場1つの数字です。ブランドも市場も限定された条件での結果です
  • クリック率・注視時間の測定方法と期間、比較対象は公表されていません。従来の制作物と同一条件で比べた数字かどうかは確認できません
  • 「数か月→数日」は技術ベンダー(NVIDIA)側の発表にある数字です。販売側の資料として最も慎重に読む必要があります(重複「平均5→1」は同社の発表にも記載があります)
  • 商品画像という「正解がはっきりした制作物」の話です。ブランドの世界観を作る類のクリエイティブが同じ効率になるわけではありません
  • 2倍速・50%安くは「商品画像」についての数字です。コンテンツ制作全般が半額になったという意味ではありません(報道では「一部のコンテンツ」と書かれています)
  • 同社のプレスリリースは自動取得(curl等)が403で拒否されます。当サイトは公式ページをブラウザで開いて本文を直接確認したうえで、上記の数字を原文と1つずつ突き合わせています(2026年8月19日実施)

よくある質問

Q. ユニリーバの「最大55%節約」は、どの範囲の数字ですか?

美容・ウェルビーイング部門(TRESemmé・Dove・ヴァセリン・Clear)の数字で、全社の実績ではありません。原文は「up to 55% savings」=「最大55%の節約」で、常に55%削減されるという意味ではなく、節約の対象がコストだけを指すとも明示されていません。部門を限定しない公表値としては、商品画像の制作が2倍速・50%安く、ブランドの一貫性は100%と発表されています。いずれも同社の自社発表です。

Q. 中小企業がこの事例から最初に真似すべきことは何ですか?

デジタルツインの設備投資ではなく、「毎回ゼロから作っているもの」を洗い出すところからです。提案書・会社紹介・製品説明・メール文面のうち、作るたびに時間がかかり、作るたびに表現がばらつくものが資産化の候補になります。正本を1つ整備して、提案書もWebもメールもそこから生成する形にすると、同社がデジタルツインで得た構造に近づきます。

Q. AIでコンテンツを安く作ると、反応が落ちないのですか?

この事例は、その問いに数字で答えようとしている点が特徴です。美容・ウェルビーイング部門ではクリック率が2倍、注視時間が3倍、TRESemméタイでは購入意向が5%増と同社は発表しています。ただし測定方法・期間・比較対象は公表されていないため、従来の制作物と同一条件で比べた数字かどうかは確認できません。

Q. なぜ制作が速くなったのですか?

作り方の構造を変えたからだと読めます。従来はキャンペーンのたびに撮影から始める仕事でしたが、デジタルツインは最初の1回を再利用できる資産に変えます。同社の発表では、工程の重複が平均5から1になったとされています。

Q. 公表された数字はどこまで信用できますか?

すべて同社の発表と役員の発言で、第三者の検証を経ていません。また「数か月→数日」は技術ベンダー(NVIDIA)側の発表にある数字なので、販売側の資料として最も慎重に読む必要があります。

出典

出典と、その読み方

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