ウォルマート|「AIを使った開発では新規コードの40%超がAI製」と決算説明会で語った会社
公開 2026-08-11 / 約5分
AIを使った開発における、AI生成・AI支援の新規コードの割合(FY26 Q3 決算説明会)
40%超
出典:決算・年次報告(2025-08-21時点)
- 地域
- 🇺🇸 アメリカ(海外)
- 業種
- 小売
- AI化した領域
- ソフトウェア開発/サプライチェーン自動化/AIエージェント/社員のスキル育成
- 出典の種別
- 決算・年次報告
AI活用の数字は、多くの場合プレスリリースで語られます。この事例が珍しいのは、決算説明会で経営陣が数字に触れている点です。決算の場での発言は、開示を伴う相対的に強い情報です。
そのうえで、この数字は引用されるときにいちばん歪みやすい種類の数字でもあります。先に正確な形を置きます。
この事例の要点
- AIをソフトウェア開発に使った場合、新しいコードの40%超がAI生成またはAI支援(FY26 Q3 決算説明会・2025年11月20日)
- 業務の中核に4つの「スーパーエージェント」を置く方針を説明(FY26 Q2・2025年8月21日)
- AI推進を担う責任者を新たに迎え、プロダクト管理・設計・技術の優先順位づけに加えてAIに伴う変化の受け入れ(change management)まで所管させた(同)
- サプライチェーンの自動化が進み、単位生産性の改善と提供コストの低下につながっていると説明(FY26 Q3)
- 社員向けにOpenAIの認定資格とChatGPTの法人ライセンスを展開(同)
どんな会社か
世界最大級の小売企業で、店舗とECを併せ持ちます。規模も業種も日本の中小企業とはまったく違いますが、後述するとおり「何を担当者に持たせたか」という組織の作り方は参考になります。
何をAI化したのか
決算説明会から読み取れるのは、対象がバックオフィスの効率化に留まっていないことです。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| ソフトウェア開発 | AIを使った開発では新規コードの40%超がAI生成・AI支援 |
| サプライチェーン | 米国で6割超の店舗が自動化倉庫から入荷、EC出荷量の5割超が自動化 |
| 業務の実行 | 4つの「スーパーエージェント」を中核に置く |
| 人材 | OpenAI認定資格とChatGPT法人ライセンスの展開 |
「4つのスーパーエージェント」の内訳は、顧客向けアシスタント(Sparky)、従業員向け、取引先・出品者・広告主向け、そして開発者向けです。開発者向けのエージェントが4本柱の1つに入っていることと、先の「40%超」は同じ流れの上にあります。
この数字の正しい読み方
原文は「AIをソフトウェア開発に使うとき、新しいコードの40%超がAI生成またはAI支援である」という条件つきの言い方です。
つまり、同社の全コードの40%超がAI製という意味ではありません。AIを使った案件に限った比率です。この条件を落として引用すると数字が独り歩きします。自社で目標を置くときも、比較すべきは「全社の何%」ではなく「AIを使うと決めた工程で、どれくらい任せられているか」のほうです。
注目すべきは「変化の受け入れ」を職務に入れたこと

この事例でいちばん実務的な学びは、数字ではなくここだと考えます。
同社はAI推進の責任者に、技術の優先順位づけだけでなく変化の受け入れ(change management)まで担当させています。
AI導入が止まる原因は、多くの場合ツールの性能ではありません。現場が慣れたやり方に戻ることです。それを「誰かが片手間でやること」にせず、責任者の職務として明示した点が、規模に関係なく参考になります。
中小企業が真似できる3点
① 「使われているか」を見る人を決める
専任は要りません。ただ担当を決めておくこと。決めていない組織では、導入後に誰も使用状況を見ていない状態になります。
② 開発・制作の工程から入る
コード生成の比率が先に上がったのは偶然ではありません。成果物の正誤が確かめやすい工程は、AIの効果が早く出ます。資料作成や下書きも同じ性質です。
③ 育成をセットにする
同社は外部の認定資格とライセンス配布まで用意しています。ツールを配るだけでは使えるようにならないという前提が組み込まれています。
こうした「誰が使われる状態まで持っていくか」の設計は、社内に手を動かせる人がいないと止まりがちです。営業・マーケの実務を分かっている外部に実装まで任せる選択肢もあり、私たちAIリモートワーカーのようなサービスもその1つとして検討する余地があります。
ai-remote-worker.com AIリモートワーカー|営業・マーケのAI導入支援 営業・マーケティングのAI化を、月額定額または成果確認後払いで。実装まで踏み込む伴走型の支援です。注意して読むべき点
- 「40%超」はAIを使った開発に限った比率であり、全社のコードの割合でも、生産性が40%上がったという意味でもありません
- 「4つのスーパーエージェント」は方針の説明であり、それによる効果の実測値は公表されていません
- サプライチェーンの改善は自動化設備への投資と一体で語られています。AI単独の寄与を切り分けた数字ではありません
- 規模が極端に大きいため、絶対値は自社と比較できません。参考になるのは組織の作り方のほうです
出典を明記しているのは、読者がこうした条件つきの数字を、条件ごと確かめられるようにするためです。
出典
- Q2 FY26 Earnings Call Transcript(2025年8月21日) — 4つのスーパーエージェント、AI推進責任者の所管範囲
- Q3 FY26 Earnings Call Transcript(2025年11月20日).pdf) — 新規コードの40%超、サプライチェーン自動化、認定資格とライセンス
出典と、その読み方
- 決算・年次報告2025-08-21Q2 FY26 Earnings Call Transcript(ウォルマート決算説明会の書き起こし)
監査・開示を伴う一次情報
- 決算・年次報告2025-11-20Q3 FY26 Earnings Call Transcript(ウォルマート決算説明会の書き起こし)
監査・開示を伴う一次情報
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